父親は会社経営をしています。相続時に経営権を乗っ取られない為には?

不動産・相続について教えて!

まねっぴに質問

私は41才 女性 パート 既婚です。私の父は70代後半なのですが、部品製造工場を経営しております。父はもう高齢なので、実質的には兄が切り盛りしている状態です。私は結婚して家庭を持っているのですが、母に変わって事務や軽作業を手伝っている状態です。

父親:77才 社長
母親:72才 今は専業主婦
兄:44才 専務(実質的な社長)
私:41才 事務兼軽作業のパート

父は体調もあまりよくないので、兄に引き継いで引退したいようなのですが、相続問題が発生しそうです。会社は祖父が創業した会社で、父が100%のオーナーとなっています。私は兄が引き継げばよいと思っており、株が欲しいとは思わないのですが、実は父には離婚歴があり、前妻との間に子供が2人おります。引き継ごうとするとこの前妻の子供にも自社株の権利を配分しないといけないようです。

会社は株式会社とはなっていますが、年商2億で従業員は6名です。小さな会社ですが、家族同然の従業員さんや取引先に恵まれ何とか黒字で頑張ってきました。そこへ異母兄弟とはいえ、全くの知らない人たちに経営権の一部をを渡さないといけないと思うと何とも言えません。このような場合にはどうするのがよいのでしょうか?宜しくお願いします。

まねっぴの回答

質問内容を拝見しました。
経営者のお父様から長男(お兄様)に相続したいと考えており、お兄様が実質的な経営者として運営しているが、異母兄弟たちがいる為、相続によって会社の株式を分割しないといけなくなるのではないかということですね。家族経営の会社ならでは問題ですね。よくあるケースとしては、世代交代のタイミングで株式が兄弟たちに分散し、また次の世代でさらに分散してしまうということです。気が付けば親族とはいえない外部株主が相当数を握っているということになりかねません。こうなってしまうと意思決定しにくくなってしまいますので、社長としては自分で握っておきたいものですね。さて、まずお父様が元気な間にしておくべきことがあります。

・資産総額を正確に計算する
・関係者を集めて話し合いをする
・意思を書面に残す

資産総額を正確に計算する

お父様が一体いくらの資産を保有しているのかを計算しなければなりません。会社の時価総額はいくらなのか?工場の土地・建物の資産価値はいくらなのか?その他自宅や現金、有価証券をいくら保有しているのか?借金はいくらあるのか?まずは正確に把握することからスタートになります。未上場企業の正確な株価を算出するためには、「純資産方式」「収益方式」「配当還元方式」「類似業種比準方式」などの計算方法によって求めることができますが、専門家に依頼した方がよいでしょう。また、不動産などについても、専門家に依頼し資産価値を算出してもらうべきでしょう。あと忘れてはならないのは、負債がいくらあるかも正確に把握することです。相続というのは、資産だけでなく負債も相続されます。資産が多くあると思っていたら、負債の方が多かったという事態にならないように、事前に把握しておきましょう。

関係者を集めて話し合いをする

被相続人の方が亡くなってしまった場合、遺産分割協議で相続人全員が合意しなければなりませんが、難航してしまう可能性があります。そこで、今回であればお父様含め全員が健在の間に、関係者を集めて事前に円満に合意形成を図る方がよいでしょう。いきなり相続を放棄して欲しいなどと伝えても折り合えないので、相続する権利を認めつつ、お互いがどこまで譲歩できるのかを話し合わなければなりません。今回のケースであれば、会社の株式はお兄様に譲りたいという事情を伝えて、その株式相当額の現金を支払う条件にするなどで、納得してもらう方法を模索することになります。
このような話し合いの場では、過去の因縁などから感情的な議論になってしまうこともあります。そうならないようにお互いの立場を尊重し、冷静に話し合いましょう。もし、難しい場合には弁護士などの専門家に立ち会ってもらうのも必要でしょう。

意思を書面に残す

最後に重要なのが、書面に残すということです。書面に残すというのは、ただの書面ではありません。公正証書遺言という公式な書面にして残します。公正証書遺言は遺言者が、公証人の面前で遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するものです。公正証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で検認の手続を経る必要が無いので、速やかに相続手続きを行うことができるメリットがあります。遺言書とともに事前に合意している内容を、公正証書として残しておけば、相続時のトラブルも無く進めることができるでしょう。

法定相続分と遺留分

法定相続分とは、民法で定められている相続時の遺産の取り分になります。

法定相続分
・配偶者と子供が相続人である場合
 ⇒配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
・配偶者と直系尊属が相続人である場合
 ⇒配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
・配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
 ⇒配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
一方で、「遺留分」とは、民法上、最低限保障されている相続人の取り分であり、遺産の半分が「遺留分」となります。遺留分は被相続人の意思にかかわらず、相続人全員が確保することができるため、他の相続人が過大な財産を取得し、自己の取得分が遺留分よりも少なくなった場合には、自己の遺留分に相当する金額の支払いを請求することができます。

法定相続分と遺留分

引用 相続人の範囲と法定相続分

少し余談となりますが、今回のようなお父様からお兄様へ経営を譲りたい場合に、注意しないといけないのが税金です。生前に経営権を移譲する場合は、贈与税の対象となります。一方で被相続人が亡くなってから移譲する場合には相続税が発生します。一般的には贈与税は、相続税に比べ基礎控除額が低く、さらに税率が高くなっています。今回のケースも一括で贈与すると莫大な税金の対象になることが予想されます。しかし、基礎控除枠を活用し、計画的に贈与することで、節税することは可能です。専門家に相談してみましょう。

最後に

親族が亡くなった場合に、悲しいはずなのですが、遺産分割協議になった途端に喧嘩になることは珍しいことではありません。特に企業経営者などで多くの資産を持っている場合は尚更です。そうならない為にも、生前から相続人と遺産の分配方法を取り決めておくことが重要です。今回の質問者様の場合は、異母兄弟がいらっしゃいるというケースですので、事前に協議をしておくほうがよいでしょう。会社の資産評価や株式の譲渡となりますと、非常に難しい問題となるので、専門家のサポートを得ながら、円満に解決できることを願っております。

参考記事 2,000万円の生前贈与を受けました。老後に向けてどのように増やせばよいでしょうか?

(留意事項)
本ブログをご参考にして頂ければ嬉しいですが、くれぐれも最終的な判断は自己責任にてお願いします。

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