昨今の物価上昇は、現役世帯だけでなく、年金を主な収入源とする年金受給者世帯にも大きな影響を与えています。食費や光熱費、医療費など日々の支出が増える一方で、年金収入は大きく増えにくく、家計のやりくりに不安を感じる方も少なくありません。
さらに、少子高齢化の進行により、年金制度を支える現役世代は減少傾向にあります。そのため、今後も年金支給額の大幅な増額を期待するのは難しい状況です。こうした環境の中で、手元の資金をできるだけ安全に守りながら、少しでも有利に運用する方法を考えることが重要になっています。
一方で、高齢者世帯の中には、これまで株式や投資信託などの投資にあまり馴染みがなかった方も多く、老後資金を大きなリスクにさらすことに抵抗を感じるケースもあります。その点、定期預金は元本割れのリスクが低く、仕組みも分かりやすいため、年金受給者にとって検討しやすい選択肢のひとつです。
そこで本記事では、年金受給者向けに優遇金利が用意されている定期預金を対象に、1年定期の金利で比較したランキングを作成しました。年金受取口座として利用するメリットや注意点も踏まえながら、安心して預け先を選ぶためのポイントを解説します。
- 1 年金受給者向け定期預金ランキングTOP10
- 1.1 1位:信用組合 愛知商銀「年金定期預金『雅』」年1.60%
- 1.2 2位:横浜幸銀信用組合「年金定期預金」年1.25%
- 1.3 3位:大阪商工信用金庫「年金定期」年1.10%
- 1.4 4位:播州信用金庫「年金定期預金」年1.00%
- 1.5 5位:中栄信用金庫「なかしん年金定期預金Ⅰ」年1.00%
- 1.6 6位:兵庫県信用組合「けんしん年金『悠々定期預金』」年0.80%
- 1.7 7位:大分県信用組合「やすらぎプラス」年0.80%
- 1.8 8位:北陸銀行「年金定期預金」年0.60%
- 1.9 9位:伊予銀行「年金受給者専用定期預金 しあわせ賛歌[2]」年0.60%相当
- 1.10 10位:東京信用金庫「年金専用定期預金『たのしみ』」最大年0.575%
- 2 年金受取口座ならではの注意点
- 3 年金受給者向け定期預金の選び方
- 4 まとめ
年金受給者向け定期預金ランキングTOP10
| 順位 | 金融機関 | 商品名 | 1年金利 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 信用組合 愛知商銀 | 年金定期預金「雅」 | 年1.60% | 組合員・年金受取等 |
| 2位 | 横浜幸銀信用組合 | 年金定期預金 | 年1.25% | 組合員・公的年金受取 |
| 3位 | 大阪商工信用金庫 | 年金定期 | 年1.10% | 年金受取者向け |
| 4位 | 播州信用金庫 | 年金定期預金 | 年1.00% | 年金受取者向け |
| 5位 | 中栄信用金庫 | なかしん年金定期預金Ⅰ | 年1.00% | 公的年金受取・変更予定者等 |
| 6位 | 兵庫県信用組合 | けんしん年金「悠々定期預金」 | 年0.80% | 公的年金等の受取者 |
| 7位 | 大分県信用組合 | やすらぎプラス | 年0.80% | 公的年金受取者限定 |
| 8位 | 北陸銀行 | 年金定期預金 | 年0.60% | 北陸銀行で年金受取 |
| 9位 | 伊予銀行 | しあわせ賛歌[2] | 年0.60%相当 | スーパー定期1年もの+年0.10% |
| 10位 | 東京信用金庫 | 年金専用定期預金「たのしみ」 | 最大年0.575% | 預入金額により上乗せ幅が異なる |
1位:信用組合 愛知商銀「年金定期預金『雅』」年1.60%
2026年5月時点で目立つ高金利商品が、信用組合 愛知商銀の年金定期預金「雅」です。公的年金を同組合で受け取っている人、または新たに受け取る人などを対象にした定期預金で、組合員の場合は1年もの年1.60%、非組合員でも年1.00%とされています。預入金額は10万円以上1,000万円以内で、取扱期間は2026年4月1日から2026年9月30日までです。
年金受取口座を条件にした定期預金は、通常の定期預金よりも預入上限や対象者が細かく設定される傾向があります。愛知商銀の場合も、単に口座を持っているだけでなく、年金受取の実績や手続きが重要になります。1年以外の商品では、メールオーダー専用定期「Link」で3年もの年1.60%、1年もの年1.30%などの金利も確認できます。
信用組合 愛知商銀の年金定期預金「雅」の公式ページ
2位:横浜幸銀信用組合「年金定期預金」年1.25%
横浜幸銀信用組合の年金定期預金は、同組合で公的年金の振込を利用している人向けの商品です。1年ものの適用金利は、組合員で年1.25%、非組合員で年1.15%と案内されています。預入期間は1年、預入金額は10万円以上1,000万円以下で、満期後は自動継続の扱いとなります。
この商品は、年金受取口座として利用していることが金利優遇の前提です。年金は原則として偶数月に振り込まれるため、生活費口座として使いやすい一方、公共料金やクレジットカードの引き落とし口座と兼用している場合は、定期預金に預け入れる金額を無理に大きくしすぎないことが重要です。横浜幸銀信用組合では、年金定期以外にも3年ものや5年ものの定期預金商品があり、期間別に金利が設定されています。
3位:大阪商工信用金庫「年金定期」年1.10%
大阪商工信用金庫の年金定期は、1年もの年1.10%の高水準が確認できる商品です。公式の金利一覧では、年金定期の預入期間が1年、預入金額が20万円以上5,000万円までとされています。
大阪商工信用金庫は、年金定期以外にも高金利の定期預金が比較的多い点が特徴です。たとえば、アプリ定期預金では1年もの年1.00%、3年もの年1.20%、5年もの年1.30%が掲載されています。また、スーパーゴールド定期預金では、1年・2年もの年0.700%、3年・4年もの年0.710%、5年もの年0.720%も確認できます。
年金受取者にとっては、1年定期で高金利を狙うか、3年・5年の定期で長めに固定するかが選択肢になります。ただし、長期の定期預金は途中解約すると当初の高金利が適用されない場合があるため、生活費や医療費として使う可能性がある資金は普通預金に残しておくと安心です。
4位:播州信用金庫「年金定期預金」年1.00%
播州信用金庫の年金定期預金は、1年もの年1.00%、3年もの年1.20%が設定されています。預入金額は10万円以上で、1人あたり上限3,000万円までとされています。
1年ものは資金の見直しがしやすく、3年ものはより高い金利を固定できる点がメリットです。年金受給者の場合、今後の医療費、介護費、住まいの修繕費など、まとまった支出が発生する可能性もあります。そのため、すべてを3年ものにするのではなく、1年ものと3年ものに分ける使い方も考えられます。
また、年金受取口座を変更する場合、日本年金機構では「年金受給権者 受取機関変更届」の提出が必要と案内されています。次回支払日の1か月前までに提出し、新しい口座に年金が入金されるまでは旧口座を解約しないよう案内されています。
5位:中栄信用金庫「なかしん年金定期預金Ⅰ」年1.00%
中栄信用金庫の「なかしん年金定期預金Ⅰ」は、1年もの年1.00%の商品です。対象は、中栄信用金庫で公的年金を受け取っている人、または新たに受け取りを開始・変更する人などで、預入金額は1,000円以上100万円以内です。取扱期間は2026年4月1日から2027年3月末までとされています。
同じ中栄信用金庫には「なかしん年金定期預金Ⅱ」もあり、こちらは1年もの年0.70%、預入金額は1,000円以上500万円以内です。Ⅰは金利が高い一方で上限金額が100万円と小さく、Ⅱは金利が下がる代わりに上限が大きいという違いがあります。
年金受取者向け定期預金では、このように「高金利だが預入上限が小さい」商品が少なくありません。ランキングの金利だけを見るのではなく、実際にいくらまで預けられるかを確認することが重要です。
6位:兵庫県信用組合「けんしん年金『悠々定期預金』」年0.80%
兵庫県信用組合の「けんしん年金『悠々定期預金』」は、公的年金または共済年金を兵庫県信用組合で受け取っている人向けの商品です。1年もの年0.80%で、取扱期間は2026年4月1日から2027年3月31日まで、預入限度額は1,000万円以内とされています。
公式ページでは、同時点の店頭表示金利が年0.11%であることも示されており、年金受取者向けの優遇幅が大きいことが分かります。
年金受取口座は、日常の入出金と結びつきやすい口座です。高金利だからといって、年金が入るたびに全額を定期預金へ移すと、生活費の残高不足につながる可能性があります。年金定期を利用する場合は、生活費6か月分程度を普通預金に残し、余裕資金だけを定期化する考え方が現実的です。
7位:大分県信用組合「やすらぎプラス」年0.80%
大分県信用組合の「やすらぎプラス」は、公的年金を同組合で受け取っている人限定の特別金利定期預金です。公式ページでは、特別優遇金利として年0.80%が案内されています。
同組合では、年金受給者向けに「やすらぎ500」「やすらぎ」などの関連商品も案内されており、基準金利に一定幅を上乗せする商品もあります。
年金受給者向けの定期預金は、地域金融機関が既存顧客との関係を深める目的で設計していることが多く、対象地域や取引条件が細かい場合があります。預入前には、年金振込口座の指定が必要か、既に振込実績が必要か、窓口限定か、満期後の金利はどうなるかを確認しましょう。
8位:北陸銀行「年金定期預金」年0.60%
北陸銀行の年金定期預金は、北陸銀行で年金を受け取っている人、または新たに年金の自動受取を利用する人向けの商品です。1年ものの特別金利は年0.60%で、預入金額の上限がない点が特徴です。
多くの年金定期は100万円、500万円、1,000万円などの上限が設定されています。そのため、預入上限がない商品は、まとまった資金を預けたい人にとって使いやすい場合があります。ただし、預金保険制度の保護範囲は1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息等です。大きな資金を預ける場合は、金融機関を分散する考え方も重要です。
また、同商品は1年ものが中心です。長期間の金利固定をしたい場合は、通常のスーパー定期や大口定期の期間別金利もあわせて確認するとよいでしょう。
9位:伊予銀行「年金受給者専用定期預金 しあわせ賛歌[2]」年0.60%相当
伊予銀行の「しあわせ賛歌[2]」は、年金受給者専用の定期預金です。公式ページでは、スーパー定期1年ものの店頭表示利率に年0.10%を上乗せする商品として案内されています。預入期間は1年、預入金額は10万円以上1,000万円以内です。
伊予銀行の金利改定情報では、2026年4月時点でスーパー定期の1年もの・2年ものが年0.50%へ引き上げられ、3年もの年0.55%、4年もの年0.635%、5年もの年0.685%、10年もの年0.85%なども案内されています。
そのため、1年ものについては店頭表示利率年0.50%に上乗せ年0.10%を加え、年0.60%相当としてランキングに掲載しました。ただし、店頭表示金利は変更されるため、実際の適用金利は預入時点の公式情報で確認が必要です。
伊予銀行の年金受給者専用定期預金 しあわせ賛歌[2]の公式ページ
10位:東京信用金庫「年金専用定期預金『たのしみ』」最大年0.575%
東京信用金庫の年金専用定期預金「たのしみ」は、公的年金を同金庫で受け取っている人、または新たに受け取りを指定する人向けの商品です。預入期間は1年、預入金額は500円以上1,000万円以内です。2026年4月1日から2026年9月30日までの取扱商品として案内されています。
金利は預入金額によって異なり、100万円までの部分はスーパー定期1年ものに年0.20%上乗せ、900万円までの部分は年0.05%上乗せです。公式の金利案内では、100万円までが年0.575%、900万円までが年0.425%とされています。
1年以外では、通常のスーパー定期として3年もの年0.400%、5年もの年0.450%なども確認できます。年金専用定期としては1年ものが中心ですが、満期後の資金をどう回すかを考える際には、通常定期の期間別金利も確認しておきたいところです。
年金受取口座ならではの注意点
年金受取者向け定期預金は、単なる高金利定期ではありません。多くの商品では、金融機関で公的年金を受け取っていること、または新たに受取口座として指定することが条件になります。
日本年金機構によると、年金の受取金融機関を変更する場合は「年金受給権者 受取機関変更届」の提出が必要です。また、変更届は次回支払日の1か月前までに提出し、新しい口座への入金が確認できるまでは旧口座を解約しないよう案内されています。
また、年金振込通知書は、年金が金融機関口座に振り込まれる人に対し、毎年6月に送付され、原則として6月から翌年4月までの各支払期の振込額が記載されます。
つまり、年金定期を利用する場合は、次の3点が重要です。
1つ目は、年金受取口座を変更する手間です。高金利商品を見つけても、年金振込口座の変更が必要な場合は、すぐに利用できるとは限りません。
2つ目は、生活費口座としての使いやすさです。年金受取口座は、日々の生活費、公共料金、医療費、カード引き落としなどに使われることが多いため、ATMや支店の使いやすさも重要です。
3つ目は、満期後の金利です。キャンペーン金利は初回満期までで、満期後は通常金利に戻る商品もあります。高金利だけで判断せず、自動継続後の金利や解約条件も確認しましょう。
年金受給者向け定期預金の選び方
年金受給者向け定期預金を選ぶ際は、金利の高さだけでなく、次の順番で比較すると失敗しにくくなります。
まず確認したいのは、1年ものの金利です。今回のランキングでは1年定期で統一しました。1年定期は、金利上昇局面でも資金を見直しやすく、生活資金とのバランスも取りやすい期間です。
次に見るべきは、預入上限額です。年1.00%を超える高金利商品でも、上限が100万円までであれば、受け取れる利息は限定されます。一方、金利がやや低くても上限が大きい商品は、まとまった資金を運用しやすい場合があります。
さらに、年金受取条件の厳しさも重要です。既に年金を受け取っている必要があるのか、これから指定すれば対象になるのか、振込実績が必要なのかで使いやすさは変わります。
最後に、預金保険制度の範囲を確認しましょう。金融庁は、定期預金などの一般預金等について、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等が保護されると説明しています。
まとめ
2026年5月時点では、年金受給者向けの定期預金は、都市銀行よりも信用金庫・信用組合などの地域金融機関で高金利商品が目立ちます。特に、信用組合 愛知商銀、横浜幸銀信用組合、大阪商工信用金庫、播州信用金庫、中栄信用金庫などは、1年定期で年1.00%以上の金利を確認できました。
ただし、年金受取者向け定期預金は、通常の定期預金よりも条件が細かい商品です。金利だけでなく、年金受取口座の指定、預入上限、満期後の金利、途中解約時の扱い、生活費口座としての利便性を含めて比較することが大切です。
年金は生活資金の土台になるお金です。高金利を狙うことは有効ですが、生活費や緊急資金まで定期預金に入れすぎないよう注意し、余裕資金の範囲で活用しましょう。
引用・出典
- 金融庁:預金保険制度の概要
- 国税庁:利子所得と預貯金利子の課税関係
- 日本年金機構:年金受取金融機関の変更手続き
- 日本年金機構:年金振込通知書の案内
※本ランキングは、2026年5月11日時点で各金融機関の公式ページから確認できた情報をもとに作成しています。
※金利はすべて税引前の年利です。利息には原則20.315%の税金がかかります。
※キャンペーン商品や優遇金利商品は、募集総額に達した場合や取扱期間終了により、早期に受付終了となる場合があります。
※年金受給者向けの定期預金は、年金受取口座の指定、公的年金の受取実績、取引状況、営業地域、会員資格、預入金額の上限、窓口限定申込など、利用条件が設定されている場合があります。
※実際に預け入れる際は、対象者、預入金額、預入期間、申込方法、対象店舗・対象支店、満期後の適用金利、年金受取口座の変更手続きの有無を必ず公式サイトや商品説明書等で確認してください。
本記事は、年金受給者向けの定期預金金利に関する情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融機関や金融商品への申込み・預け入れを推奨するものではありません。掲載している金利や条件は確認時点の情報であり、変更・終了となる場合があります。実際に利用を検討する際は、各金融機関の公式サイト、商品説明書、店頭窓口等で最新情報を確認し、ご自身の判断と責任においてお手続きください。