2026年8月募集分の個人向け国債は、変動10年が年1.87%、固定5年が年2.06%、固定3年が年1.71%となりました。
いずれも税引前の年率で、2026年6月、7月、8月と3か月連続で上昇しています。特に固定5年は年2%を超え、元本の値動きをできるだけ避けながら利息を受け取りたい人にとって、個人向け国債の存在感が一段と高まっています。
NISAの普及によって、株式や投資信託を使った資産形成が身近になりました。しかし、すべての資金を価格変動のある商品に振り向ける必要はありません。
老後資金を守りたい高齢者、数年後に使う予定がある資金を運用したい人、大きな損失を避けたい人にとっては、個人向け国債を「守りの資産」として組み合わせる方法が有効です。
この記事では、2026年8月募集分の最新金利、7月募集分の発行条件、6月から8月までの金利推移、10万円を投資した場合の利息を、財務省などの官公庁資料だけを基に解説します。
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2026年8月募集分の個人向け国債の最新金利
2026年8月6日から募集が始まった個人向け国債の金利は、次のとおりです。
| 種類 | 回号 | 2026年8月の金利(税引前) | 税引後年率 | 満期 |
|---|---|---|---|---|
| 変動10年 | 第197回債 | 年1.87% | 年1.4901095% | 10年 |
| 固定5年 | 第185回債 | 年2.06% | 年1.6415110% | 5年 |
| 固定3年 | 第195回債 | 年1.71% | 年1.3626135% | 3年 |
募集期間は2026年8月6日から8月31日まで、発行日は同年9月15日です。利子は毎年3月15日と9月15日の年2回支払われます。
募集価格と償還金額は、いずれも額面金額100円につき100円です。財務省の発表時点では、証券会社や銀行など873機関が取扱機関として示されています。
2026年8月は固定5年が年2.06%
8月募集分で最も高い金利は、固定5年の年2.06%です。
固定5年は、購入時に決まった利率が満期まで変わりません。そのため、購入段階で今後5年間に受け取る利息を見通しやすい商品です。
一方、変動10年は初回の適用利率が年1.87%で、半年ごとに利率が見直されます。今後も市場金利が上昇すれば、受取利息が増える可能性があります。
固定3年は年1.71%です。固定5年より金利は低いものの、満期までの期間が3年と短いため、比較的近い将来に使う予定のある資金を運用しやすい商品といえます。
2026年7月募集分の個人向け国債の発行条件
2026年7月募集分は、変動10年が第196回債、固定5年が第184回債、固定3年が第194回債として募集されました。
金利は、変動10年が年1.80%、固定5年が年1.95%、固定3年が年1.56%です。
| 項目 | 2026年7月募集分の発行条件 |
|---|---|
| 募集期間 | 2026年7月6日~7月31日 |
| 発行日 | 2026年8月17日 |
| 利払日 | 毎年2月15日・8月15日 |
| 変動10年 | 年1.80%(税引後 年1.4343300%) |
| 固定5年 | 年1.95%(税引後 年1.5538575%) |
| 固定3年 | 年1.56%(税引後 年1.2430860%) |
| 募集価格 | 額面100円につき100円 |
| 償還金額 | 額面100円につき100円 |
| 中途換金 | 原則として発行から1年経過後に可能 |
7月募集分と8月募集分を比べると、変動10年は0.07ポイント、固定5年は0.11ポイント、固定3年は0.15ポイント上昇しました。
わずか1か月で3商品すべての金利が上がっており、なかでも固定3年の上昇幅が最も大きくなっています。
2026年6月・7月・8月の金利推移
個人向け国債の金利は、2026年6月から8月にかけて次のように推移しました。
| 募集月 | 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 |
|---|---|---|---|
| 2026年6月 | 年1.74% | 年1.86% | 年1.51% |
| 2026年7月 | 年1.80% | 年1.95% | 年1.56% |
| 2026年8月 | 年1.87% | 年2.06% | 年1.71% |
| 6月から8月の上昇幅 | +0.13ポイント | +0.20ポイント | +0.20ポイント |
3か月間で見ると、変動10年は年1.74%から年1.87%へ、固定5年は年1.86%から年2.06%へ、固定3年は年1.51%から年1.71%へ上昇しました。
固定5年と固定3年は、いずれも6月から0.20ポイント上昇しています。個人向け国債のなかでも、固定金利タイプの上昇が目立つ結果となりました。
基準金利の上昇が募集金利に反映された
個人向け国債の金利が上昇した背景には、各商品の利率計算に使われる基準金利の上昇があります。
財務省資料によると、変動10年の初回利率に使われる基準金利は、次のように推移しています。
- 2026年6月募集分:年2.63%
- 2026年7月募集分:年2.73%
- 2026年8月募集分:年2.83%
固定5年の基準となる想定利回りは、年1.91%、年2.00%、年2.11%と上昇しました。固定3年についても、年1.54%、年1.59%、年1.74%と上がっています。
変動10年は、原則として基準金利に0.66を掛けて適用利率を決めます。固定5年は基準金利から0.05%、固定3年は基準金利から0.03%を差し引いて利率を決める仕組みです。
市場金利の上昇が、個人向け国債の募集金利にも反映される設計となっています。
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10万円を投資した場合の利息はいくら?
2026年8月募集分の個人向け国債に10万円を投資した場合、どの程度の利息を受け取れるのでしょうか。
国債の利子には、原則として所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた**20.315%**の税金がかかります。
10万円を投資した場合の年間利息
| 種類 | 金利 | 年間利息・税引前 | 年間利息・税引後 | 半年ごとの税引後利息 |
|---|---|---|---|---|
| 変動10年 | 年1.87% | 1,870円 | 約1,490円 | 約745円 |
| 固定5年 | 年2.06% | 2,060円 | 約1,642円 | 約821円 |
| 固定3年 | 年1.71% | 1,710円 | 約1,363円 | 約681円 |
実際の受取額は、保有期間や利子計算、端数処理などによって概算と異なることがあります。
変動10年に10万円を投資した場合
変動10年の初回適用利率は年1.87%です。
税引前の年間利息は、次の計算になります。
10万円×1.87%=1,870円
税引後の年間利息は約1,490円です。利子は年2回支払われるため、同じ金利が1年間続くと仮定した場合、1回当たりの受取額は税引前935円、税引後約745円となります。
ただし、変動10年の利率は半年ごとに見直されます。年1.87%が10年間続くわけではありません。
今後の金利上昇局面では利率が上がる可能性がある一方、基準金利が下がれば受取利息も減ります。ただし、年0.05%の最低金利が設けられています。
固定5年に10万円を投資した場合
固定5年の金利は年2.06%で、満期まで変わりません。
税引前の年間利息は、次のとおりです。
10万円×2.06%=2,060円
税引後は年間約1,642円です。半年ごとの受取額は、税引前1,030円、税引後約821円となります。
利子を再投資しない単純計算では、5年間の利息合計は次のとおりです。
- 税引前:約1万300円
- 税引後:約8,208円
購入時点で5年間の利率が確定するため、今後受け取る利息を見通しやすい点が固定5年の特徴です。
固定3年に10万円を投資した場合
固定3年の金利は年1.71%です。
税引前の年間利息は、次の計算になります。
10万円×1.71%=1,710円
税引後は年間約1,363円で、半年ごとの受取額は税引前855円、税引後約681円です。
3年間の利息合計は、単純計算で次のようになります。
- 税引前:約5,130円
- 税引後:約4,088円
固定5年や変動10年より期間が短いため、数年後に使う予定のある資金にも合わせやすい商品です。
個人向け国債とは?
個人向け国債は、国が個人投資家向けに発行する国債です。
商品は次の3種類です。
- 半年ごとに利率が変わる「変動10年」
- 満期まで金利が変わらない「固定5年」
- 満期まで金利が変わらない「固定3年」
最低購入額は1万円で、1万円単位で購入できます。3商品とも最低金利は年0.05%です。
利子は年2回支払われ、満期時の償還金額は額面100円につき100円です。発行から1年が経過すれば、所定の中途換金調整額を差し引いたうえで中途換金できます。
株式や投資信託は、市場価格によって評価額が日々変動します。一方、個人向け国債は中途換金の仕組みがあらかじめ定められており、一般的な国債を市場で売却する場合のような価格変動を受けにくい商品です。
大きく増やすことよりも、元本の安定性を重視しながら利息を積み上げる商品と考えると分かりやすいでしょう。
変動10年・固定5年・固定3年はどれを選ぶ?
今後の金利上昇にも対応したいなら変動10年
変動10年は、半年ごとに適用利率が見直されます。
金利上昇が続く局面では、固定金利商品よりも受取利息が増える可能性があります。10年という名称ですが、発行から1年を経過すれば中途換金できるため、必ず10年間保有しなければならないわけではありません。
一方、将来の利率は確定していません。最初から運用収益を確定させたい人には、固定5年または固定3年の方が分かりやすいでしょう。
年2%台を5年間固定したいなら固定5年
2026年8月募集分では、固定5年が年2.06%と、3商品のなかで最も高い金利です。
購入後に市場金利が低下しても、購入時の金利は5年間変わりません。老後資金のうち当面使わない部分や、定期預金以外の安定運用先を探している人に向いています。
ただし、購入後に市場金利がさらに上昇しても、保有中の固定5年の金利は上がりません。
より高い金利の商品が後から登場する可能性も考えるなら、資金を一度に投じず、募集月を分けて購入する方法もあります。
運用期間の短さを重視するなら固定3年
固定3年は固定5年より金利が低いものの、満期までの期間が3年と短い商品です。
教育費、住宅関連費、車の購入費など、数年後に使う予定が比較的明確な資金に合わせやすいでしょう。
ただし、発行から1年間は原則として中途換金できません。近いうちに必要になる生活費や緊急予備資金を全額投資するのではなく、普通預金など、すぐに引き出せる資金を別に確保しておく必要があります。
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NISAだけでなく「守りの資産」を持つ意味
NISAは、上場株式や一定の投資信託などから得た利益を非課税にできる制度です。
長期・積立・分散投資を実践するうえで有効ですが、NISAを利用したからといって、購入した商品の価格変動がなくなるわけではありません。
金融庁も、株式や投資信託などは預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれがあると説明しています。
一方、金融庁が示す現行NISAの対象は、上場株式、ETF、REIT、株式投資信託などです。個人向け国債そのものは、現行NISAの対象商品に含まれていません。そのため、個人向け国債から受け取る利子には、原則として20.315%の税金がかかります。
しかし、税制上の非課税だけを基準に投資先を決めるのではなく、資金を使う時期や、どの程度の値動きを許容できるかに合わせて商品を選ぶことが重要です。
NISAと個人向け国債は併用できる
NISAと個人向け国債は、どちらか一方を選ぶものではありません。
例えば、資金の役割を次のように分けられます。
- 長期間使う予定がなく、成長を目指す資金はNISA
- 数年後に使う予定があり、値動きを抑えたい資金は個人向け国債
- 日常生活や緊急時に使う資金は普通預金
NISAで株式や投資信託を保有しながら、個人向け国債を組み合わせれば、資産全体の価格変動を抑えやすくなります。
株式市場が大きく下落したときに生活費のために資産を売却すると、損失が確定し、その後の価格回復を待てない可能性があります。
数年分の生活資金や近い将来に使う資金を個人向け国債などで確保しておけば、株式を不利なタイミングで売却する必要を減らせます。
高齢者やリスクを抑えたい人に個人向け国債が向く理由
退職後は、資産を増やすことだけでなく、必要な時期に必要な金額を確保できることが重要になります。
生活費、医療費、介護費、住宅修繕費など、近い将来に使う可能性が高い資金まで株式中心で運用すると、資金が必要な時期と市場下落が重なる可能性があります。
個人向け国債は1万円から購入でき、半年ごとに利子を受け取れます。発行から1年後は中途換金できるため、一定の換金性も確保されています。
特に、次のような人は個人向け国債を検討しやすいでしょう。
- 株式の大きな値動きに不安を感じる人
- 退職金の一部を安定的に運用したい人
- 数年後に使う予定の資金を持っている人
- 普通預金より高い金利を求めている人
- NISAで株式を保有しており、守りの資産を増やしたい人
ただし、高齢者であれば必ず個人向け国債が最適というわけではありません。
年齢だけで判断せず、毎月の収支、年金額、預貯金、今後の支出、家族構成などを確認し、当面使わない資金の範囲で購入することが大切です。
個人向け国債を購入する前の注意点
発行から1年間は原則として中途換金できない
個人向け国債は、発行から1年が経過すれば中途換金できます。
反対に考えると、通常は発行から1年間、中途換金できません。1年以内に使う可能性がある生活費や緊急予備資金を投じることは避けた方がよいでしょう。
保有者が亡くなった場合や、大規模な自然災害で被害を受けた場合には、中途換金の特例が設けられています。
中途換金調整額が差し引かれる
発行から1年後に中途換金する場合、直前2回分の各利子の税引前相当額に0.79685を掛けた中途換金調整額が差し引かれます。
額面金額で換金できる仕組みですが、それまでに受け取った利息の一部が調整される点を理解しておきましょう。
固定金利には機会損失がある
固定3年と固定5年は、購入時の利率が満期まで変わりません。
購入後に新規募集分の金利が上昇しても、保有している国債の利率は上がりません。金利の先行きを正確に予測することは難しいため、購入時期を複数月に分ける方法も選択肢になります。
物価上昇に追いつかない可能性がある
物価上昇率が国債金利を上回ると、資産の実質的な購買力は低下します。
個人向け国債は価格変動を抑える目的には適していますが、長期的な資産成長をすべて任せる商品ではありません。
株式、投資信託、預貯金などと役割を分けることが重要です。
個人向け国債に関するよくある質問
個人向け国債は元本割れしますか?
財務省は、個人向け国債を額面金額で償還し、最低金利を保証する商品として案内しています。
発行から1年後に中途換金する場合も額面金額で換金されますが、直前2回分の利子に相当する中途換金調整額が差し引かれます。
変動10年は10年間解約できないのですか?
変動10年も、発行から1年が経過すれば中途換金できます。
ただし、中途換金調整額として、直前2回分の各利子相当額が差し引かれます。
個人向け国債はNISAで購入できますか?
現行NISAの対象商品に、個人向け国債そのものは含まれていません。
そのため、個人向け国債の利子には原則として20.315%の税金がかかります。
2026年8月はどの商品が最も高金利ですか?
固定5年の年2.06%です。
次いで変動10年が年1.87%、固定3年が年1.71%となっています。
ただし、変動10年は半年ごとに利率が変わるため、将来の受取利息が固定5年を上回る場合も、下回る場合もあります。
個人向け国債はどこで購入できますか?
証券会社、銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など、財務省が指定する取扱金融機関で購入できます。
初めて購入する場合は、国債を管理するための口座開設が必要です。金融機関によっては、口座管理手数料などがかかる場合があります。
まとめ|個人向け国債は「守りながら運用する」選択肢へ
2026年8月募集分の個人向け国債は、次の金利となりました。
- 変動10年:年1.87%
- 固定5年:年2.06%
- 固定3年:年1.71%
2026年6月から8月まで3か月連続で金利が上昇し、固定5年は年2%を超えています。
低金利期には、個人向け国債は安全性を重視する代わりに利息が少ない商品という印象が強くありました。しかし現在は、元本の安定性を重視しながら一定の利息を受け取れる運用先として、改めて検討する価値が高まっています。
NISAによる株式・投資信託の運用は、長期的な資産形成に有効です。
一方、高齢者や価格変動を避けたい人、数年以内に使う予定のある資金を持つ人は、すべてをリスク資産に配分する必要はありません。
「増やす資金」はNISA、「守る資金」は個人向け国債というように役割を分ければ、相場が不安定な局面でも資産運用を続けやすくなります。
金利上昇によって、個人向け国債は単なる待機資金の置き場ではなく、守りながら利息を得るための有効な投資先になってきたといえるでしょう。
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出典・引用
財務省「個人向け国債の発行条件等(2026年8月募集分)」
財務省「個人向け国債の発行条件等(2026年7月募集分)」
財務省「個人向け国債の発行条件等(2026年6月募集分)」
財務省「個人向け国債商品概要」
財務省「個人向け国債公式サイト」
財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」
国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
金融庁「NISA特設ウェブサイト」
金融庁「資産形成の基本」
本記事は、個人向け国債に関する制度や金利、募集条件などの情報公開を目的として作成したものであり、特定の商品への投資や購入を推奨するものではありません。2026年8月6日時点で公表されている財務省、金融庁、国税庁などの官公庁資料を基に作成しています。個人向け国債の金利、募集期間、発行条件および取扱金融機関は、募集月や市場環境によって変更される場合があります。
購入前には、財務省および取扱金融機関が公表している最新の募集条件、商品説明書、手数料、税制、中途換金条件などを必ずご確認ください。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。