2026年7月の日本株市場は、6月まで相場をけん引してきた半導体関連株が大きく下落する一方、AI・DX、エンターテインメント、コンテンツ、物流自動化など、個別材料を持つ中小型株に資金が向かいました。
日経平均株価が月間で8%を超えて下落する厳しい相場環境のなかでも、株価を1.5倍以上に伸ばした企業が複数あります。首位の銘柄は、7月1日の始値から7月31日の終値までに約3倍まで上昇しました。
本記事では、東京証券取引所のプライム市場・スタンダード市場・グロース市場に上場する国内普通株式を対象として、2026年7月1日の始値から7月31日の終値までの株価上昇率TOP10をカウントダウン形式で紹介します。
企業が公表した情報と株価の動きを照らし合わせながら、株価が上昇した背景についても筆者の見解を交えて解説します。
2026年7月の日経平均株価はどう動いた?
2026年7月の日経平均株価は、月初の高値圏から大きく調整しました。
日本経済新聞社の指数データによると、7月の日経平均株価は、月初値70,474円96銭、月間高値70,474円96銭、月間安値61,434円19銭、月末終値64,362円02銭でした。月間の高値と安値の差は9,040円77銭に達しています。
6月末の70,062円32銭から7月末の64,362円02銭までの下落率は8.13%で、日経平均株価は4カ月ぶりの反落となりました。月初値と月末終値を比較しても、8.67%の下落です。
6月はAI関連投資への期待を背景として、半導体関連株を中心に日経平均株価が上昇しました。しかし、7月に入ると高値警戒感が強まり、利益確定売りが急速に広がりました。
一方、日本経済新聞社が算出するエンタメ株指数は、7月に前月末比16.77%上昇しました。半導体株指数とは対照的な動きとなっており、7月相場は「指数全体の下落」だけでは説明できない、セクター間の明暗が鮮明な1カ月だったといえます。
7月は半導体セクターが大きく崩れた
7月の日本株市場で最も目立ったのは、半導体関連株の下落です。
東京証券取引所の日報を基に、7月1日の始値と7月31日の終値を比較すると、主な半導体関連株の騰落率は次のようになりました。
| 銘柄 | 7月1日始値 | 7月31日終値 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 東京エレクトロン | 78,650円 | 55,500円 | -29.43% |
| レーザーテック | 52,180円 | 37,910円 | -27.35% |
| ディスコ | 85,340円 | 58,480円 | -31.47% |
| SCREENホールディングス | 18,410円 | 12,600円 | -31.56% |
| ルネサスエレクトロニクス | 5,117円 | 3,442円 | -32.73% |
| KOKUSAI ELECTRIC | 11,580円 | 7,422円 | -35.91% |
※上表は半導体関連の代表的な銘柄を抽出したものであり、公式の業種別指数ではありません。
6月まで上昇していた銘柄ほど、7月の反動も大きくなりました。将来の成長期待が後退したというよりも、株価に織り込まれていた期待が一度に調整された面が大きいと考えられます。
日本銀行も2026年7月の展望レポートで、世界的なAI関連需要の拡大が続く可能性を示す一方、投資に見合う収益拡大が実現しなければ、資産価格の変動を伴う調整圧力が生じる可能性を指摘しています。7月の半導体株下落は、こうしたAI投資に対する期待と警戒が交錯した結果とも考えられます。
株価上昇率ランキングの算出方法
今回のランキングは、東京証券取引所が公表した2026年7月1日と7月31日の株式相場表を使用して、筆者が独自に集計しました。
計算式は次の通りです。
株価上昇率=(7月31日終値÷7月1日始値-1)×100
対象は、東証プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に上場する国内普通株式です。ETF、ETN、REIT、インフラファンド、優先株式などは除外しています。
また、7月1日と7月31日の両方で株価を確認できた銘柄を対象としています。配当を含めたトータルリターンではなく、株価のみを比較したランキングです。
第10位:Globee|49.25%上昇
- 証券コード:5575
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:664円
- 7月31日終値:991円
- 上昇率:49.25%
第10位は、AI英語学習サービスを展開するGlobeeです。
同社は、AI英語学習アプリ「abceed」、教育機関向けの「abceed for school」、AI英語スクール「ABCEED ENGLISH」などを開発・運営しています。学校や法人へのサービス展開も進めており、AIと教育を組み合わせた企業として注目されました。
筆者の見解では、7月は同社の決算期を通過した直後であり、業績を確認した投資家が改めてAI教育分野の成長性を評価した可能性があります。AI関連株が半導体からサービス・ソフトウェア分野へ広がるなか、比較的小型のAI関連銘柄として資金が集中したことも考えられます。
第9位:フィーチャ|52.68%上昇
- 証券コード:4052
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:224円
- 7月31日終値:342円
- 上昇率:52.68%
第9位は、画像認識AIを手掛けるフィーチャです。
同社は、車載カメラ向けのADAS、ドライバーモニタリングシステムに加え、図面解析AI「Drawing-AI」やAI-OCRなどを提供しています。
6月には「Drawing-AI」の対応領域を建築図面まで拡大し、検図、データ化、再利用を一元的に支援する総合検図プラットフォームへ進化させたと発表しました。
筆者の見解では、6月に発表された新サービスへの評価が7月相場にも継続した可能性があります。AIを単なる実験ではなく、製造業や建設業の作業時間削減に利用するサービスは、収益化の道筋を投資家が想像しやすい点が強みです。
第8位:三井松島ホールディングス|55.17%上昇
- 証券コード:1518
- 市場:東証プライム
- 7月1日始値:1,499円
- 7月31日終値:2,326円
- 上昇率:55.17%
第8位は、三井松島ホールディングスです。
同社は、石炭生産事業から事業ポートフォリオの転換を進め、現在は複数の企業を傘下に持つ事業承継型の持株会社として成長を目指しています。
7月22日には、2027年3月期の業績予想の上方修正と配当予想の増額を発表しました。同日には山洋の株式取得による子会社化も公表しています。
筆者の見解では、株価上昇の大きな理由は、業績上方修正と株主還元の強化が同時に示されたことです。将来の成長だけではなく、現在の利益と配当が評価できる企業として、下落相場のなかでも買いが集まったと考えられます。
第7位:YE DIGITAL|58.54%上昇
- 証券コード:2354
- 市場:東証スタンダード
- 7月1日始値:779円
- 7月31日終値:1,235円
- 上昇率:58.54%
第7位は、企業や物流施設向けのDXサービスを展開するYE DIGITALです。
7月16日にはNVIDIAとのフィジカルAI分野における協業を発表し、7月22日には安川電機の最先端工場へ倉庫自動化システム「WES」を導入したと公表しました。
筆者の見解では、NVIDIAとの協業に加え、実際の工場への導入事例が確認されたことで、AIや物流DXが将来構想だけではなく、受注につながる事業として評価された可能性があります。
人手不足を背景として、物流倉庫や工場の自動化需要は中長期的に継続すると考えられます。半導体そのものではなく、AIを現場で活用する企業へ資金が移ったことを象徴する銘柄です。
第6位:フューチャー|60.01%上昇
- 証券コード:4722
- 市場:東証プライム
- 7月1日始値:1,528円
- 7月31日終値:2,445円
- 上昇率:60.01%
第6位は、ITコンサルティングを主力とするフューチャーです。
同社は、企業の経営課題を起点として、業務改革からシステム設計・開発までを支援する独自のITコンサルティングを展開しています。2026年には「Future AI Science Laboratories」を開設するなど、AIの社会実装にも力を入れています。
筆者の見解では、企業の基幹システム刷新やAI導入需要が続くなか、技術力とコンサルティング力を併せ持つ企業として評価が高まったと考えられます。
グロース市場の小型株だけでなく、プライム市場のIT企業にも資金が入った点は重要です。単なるテーマ買いではなく、利益成長を伴うAI・DX関連企業を選別する動きが表れた可能性があります。
第5位:ビープラッツ|62.64%上昇
- 証券コード:4381
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:174円
- 7月31日終値:283円
- 上昇率:62.64%
第5位は、サブスクリプション統合プラットフォームを提供するビープラッツです。
同社は7月8日、AIエージェントの本格導入を支援する「AI導入支援コンソーシアム」の発足を発表しました。7月10日にはクウジットとの事業提携を公表し、AI駆動開発に必要な設計支援基盤の構築を支援する方針を示しています。
筆者の見解では、AI関連の発表が短期間に続いたことで、従来のサブスクリプション管理企業から、AIサービスの導入・収益化を支援する企業へと評価軸が変わった可能性があります。
ただし、株価水準が低く、流通する株式数も大型株ほど多くない銘柄では、少額の資金流入でも上昇率が大きくなる傾向があります。
第4位:Amazia|65.50%上昇
- 証券コード:4424
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:229円
- 7月31日終値:379円
- 上昇率:65.50%
第4位は、マンガアプリを運営するAmaziaです。
同社は、フリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」を中核として、オリジナルマンガの制作や海外展開を進めています。電子書籍市場の拡大を取り込みながら、アプリ開発力とコンテンツの収益化を強みに事業を展開しています。
筆者の見解では、半導体株からコンテンツ関連株へ資金が移るなか、株価水準の低かった同社に見直し買いが入ったと考えられます。
2026年7月はエンターテインメント関連株全体が強く、マンガ、アニメ、ゲーム、キャラクターIPなど、海外展開が期待できる日本企業への関心が高まりました。
第3位:円谷フィールズホールディングス|73.88%上昇
- 証券コード:2767
- 市場:東証プライム
- 7月1日始値:1,386円
- 7月31日終値:2,410円
- 上昇率:73.88%
第3位は、円谷フィールズホールディングスです。
同社グループは、ウルトラマンを中心としたIP・コンテンツ事業と、パチンコ・パチスロ事業を展開しています。
2026年はウルトラマンシリーズ60周年に当たり、7月3日には記念ドキュメンタリー映画が公開され、7月4日には新テレビシリーズがスタートしました。7月27日には2027年3月期第1四半期決算を発表しています。
筆者の見解では、国内外で認知度の高いウルトラマンIPについて、映像、商品、カード、イベントなど複数の収益機会が期待されたことが株価上昇につながったと考えられます。
7月のエンタメ株指数が上昇するなか、プライム市場に上場し、世界展開が期待できる代表的なIP企業として資金が集中しました。
第2位:monoAI technology|73.98%上昇
- 証券コード:5240
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:123円
- 7月31日終値:214円
- 上昇率:73.98%
第2位は、monoAI technologyです。
同社はAIとXRを組み合わせ、AI社員採用サービス、AIエージェント、メタバースプラットフォームなどを提供しています。
7月にはAIエージェントの体験型イベントやAI・XR教育を実施したほか、7月29日から31日には「AI/DX経営課題の解決展」へ出展しました。展示会ではビジネス向けAIエージェント「SuperCat」などを紹介しています。
筆者の見解では、メタバース専業という従来のイメージから、AIエージェントや企業向けAI人材育成を含む「AI×XR企業」へ事業領域を広げたことが評価された可能性があります。
一方、株価が100円台から始まった低位株であるため、短期資金が集中しやすく、値動きが大きくなった側面もあると考えられます。
第1位:アイズ|195.53%上昇
- 証券コード:5242
- 市場:東証グロース
- 7月1日始値:806円
- 7月31日終値:2,382円
- 上昇率:195.53%
2026年7月の株価上昇率ランキング第1位は、アイズです。
7月1日に806円で始まった株価は、7月31日に2,382円で取引を終えました。1カ月で1,576円上昇し、上昇率は195.53%です。
同社は、広告業界向けプラットフォーム「メディアレーダー」や、クチコミマーケティング、広告運用支援、YouTube案件のマッチングサービスなどを展開しています。
7月30日には、生成AIサービス「ChatGPT」に対応した広告支援サービスの提供開始を発表しました。広告運用の知見を生成AI分野へ広げる取り組みとして、市場の注目を集めました。
筆者の見解では、「ChatGPT」「生成AI」「広告」という注目度の高いテーマが重なったことで、短期資金が急速に流入したと考えられます。
一方、195%を超える上昇率には、サービスの将来性だけでなく、小型株特有の需給や買い戻しの影響も含まれている可能性があります。新サービスの発表後に売上や利益へどの程度貢献するかは、今後の決算で確認する必要があります。
2026年7月の株価上昇率ランキング一覧
| 順位 | 証券コード | 企業名 | 7月1日始値 | 7月31日終値 | 上昇率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 5242 | アイズ | 806円 | 2,382円 | 195.53% |
| 2位 | 5240 | monoAI technology | 123円 | 214円 | 73.98% |
| 3位 | 2767 | 円谷フィールズホールディングス | 1,386円 | 2,410円 | 73.88% |
| 4位 | 4424 | Amazia | 229円 | 379円 | 65.50% |
| 5位 | 4381 | ビープラッツ | 174円 | 283円 | 62.64% |
| 6位 | 4722 | フューチャー | 1,528円 | 2,445円 | 60.01% |
| 7位 | 2354 | YE DIGITAL | 779円 | 1,235円 | 58.54% |
| 8位 | 1518 | 三井松島ホールディングス | 1,499円 | 2,326円 | 55.17% |
| 9位 | 4052 | フィーチャ | 224円 | 342円 | 52.68% |
| 10位 | 5575 | Globee | 664円 | 991円 | 49.25% |
トップ10に入った企業にはどのような特徴がある?
今回のトップ10は、グロース市場が6社、プライム市場が3社、スタンダード市場が1社となりました。
上昇した企業には、主に次の3つの特徴があります。
AIを実際のサービスに利用している
アイズ、monoAI technology、ビープラッツ、フューチャー、YE DIGITAL、フィーチャ、Globeeなど、AIやDXに関連する企業が多数ランクインしました。
ただし、7月は半導体関連株が下落しています。AIというテーマ自体が崩れたのではなく、半導体製造装置から、AIを広告、教育、物流、設計、業務改善に利用する企業へ資金が移ったと考えられます。
エンターテインメントやIPを保有している
円谷フィールズホールディングスとAmaziaは、マンガ、映像、キャラクターなどのコンテンツを扱っています。
日本のコンテンツは海外展開との相性が良く、円安が進んだ場合には海外売上を円換算した業績を押し上げる可能性があります。半導体株の調整を受け、別の成長分野を探す資金がエンターテインメント関連株へ流れました。
小型株が多く、需給の影響を受けやすい
トップ10のうち6社がグロース市場です。
小型株は大型株と比べて市場で取引される株式数が少なく、ニュースや決算をきっかけに買い注文が集中すると、短期間で株価が大きく上昇します。
反対に、材料が一巡すると大きく下落する可能性もあります。上昇率が高いことと、企業の長期的な価値が同じとは限りません。
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2026年8月相場はどうなる?筆者の見解
2026年8月の日本株市場は、指数全体が一方向に上昇する相場ではなく、決算と個別材料によって銘柄が選別される展開になると考えます。
7月に大きく下落した半導体関連株には、短期的な売られ過ぎから反発する余地があります。ただし、6月までのように半導体株全体が一斉に上昇するのではなく、受注、利益率、設備投資計画を確認しながら買われる企業が絞られる可能性があります。
一方、AIを実際の業務に導入するソフトウェア企業、物流自動化、人手不足対策、エンターテインメント、国内サービスなどには、引き続き資金が向かうと予想します。
日本銀行は、AI関連需要、為替相場、中東情勢を重要なリスクとして挙げています。また、経済・物価情勢に応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する方針も示しています。金利上昇への警戒が強まった場合、将来の利益期待を先に織り込んでいるグロース株には売りが出やすくなります。
そのため、8月相場では次の点が重要です。
- 半導体関連株の下落が止まるか
- 企業の決算が市場予想を上回るか
- AI関連サービスが実際の売上につながっているか
- 為替や長期金利が急激に変動しないか
- 7月に急騰した小型株の利益確定売りが進むか
筆者は、8月の日経平均株価には一定の反発余地があるものの、7月の下落を短期間ですべて取り戻すのは難しいと見ています。
大型半導体株が安定すれば指数は持ち直す一方、個別株では業績の裏付けがある企業と、テーマだけで上昇した企業の差が広がるでしょう。
まとめ
2026年7月は、日経平均株価が前月末比8.13%下落し、半導体関連株が大幅に調整しました。
しかし、相場全体から資金が完全に流出したわけではありません。AIサービス、物流DX、ITコンサルティング、マンガ、キャラクターIP、株主還元など、明確な材料を持つ企業には資金が集中しました。
株価上昇率1位のアイズは195.53%上昇し、2位以下にも50%を超える銘柄が並びました。ただし、上昇率上位には値動きの大きいグロース市場の小型株が多く含まれています。
月間ランキングは、相場で注目されているテーマを確認するうえで役立ちますが、上昇した銘柄をそのまま追いかけるためのものではありません。
企業の事業内容、決算、財務状況、株価水準、上昇のきっかけを確認し、その材料が一時的なものなのか、継続的な利益成長につながるものなのかを見極めることが重要です。
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出典・引用
▶日本取引所グループ「東京証券取引所日報」の公式ページはこちら
▶日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)」の公式ページはこちら
▶内閣府「月例経済報告」の公式ページはこちら
▶経済産業省「半導体・デジタル産業戦略」の公式ページはこちら
▶経済産業省「AI・半導体産業基盤強化フレーム」の公式ページはこちら
▶総務省統計局「消費者物価指数」の公式ページはこちら
※本記事は2026年7月の株価データを基に作成した情報提供を目的とするものであり、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。