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【2026年5月検証】イラン攻撃から3カ月|株価・原油・為替・金・ビットコイン・長期金利はどう動いた?-過去データ

2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対する軍事作戦を開始しました。攻撃を受けたイランも反撃に動き、中東情勢は急速に緊迫化しました。

当初は株式市場が下落し、原油価格が急騰するなど、金融市場では典型的な「リスクオフ」の動きが見られました。しかし、その後の3カ月間を振り返ると、すべての資産が教科書どおりに動いたわけではありません。

株価は一時急落したあと大きく回復し、ビットコインも上昇しました。一方、原油価格と日本の長期金利は高水準となり、安全資産とされる金価格は下落しています。

本記事では、イランへの攻撃が始まった2026年2月28日から5月28日までの3カ月間について、日経平均株価、NYダウ、ドル円相場、原油、金、ビットコイン、日本の長期金利がどのように動いたのかを整理します。

単に価格を並べるだけではなく、それぞれの値動きが家計、住宅ローン、物価、資産運用にどのような影響を与えるのか、ファイナンシャルプランナーの視点から解説します。

なお、2026年2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始したことは、外務省や防衛省防衛研究所からも公表されています。

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2026年7月更新時点の注意点

本記事は、2026年2月28日から5月28日までの「攻撃開始後3カ月間」を検証したものです。

その後も中東情勢は安定せず、2026年7月には米国とイランの攻撃が再び行われたと報じられています。外務省も7月9日付で、中東情勢が急激に変化する可能性について注意喚起を行っています。

したがって、本記事に掲載している価格は現在の価格ではなく、2026年5月28日までの市場推移を検証するための過去データです。

まずは3カ月間の価格変動を比較

2026年2月28日から5月28日までの主な市場データを比較すると、次のようになります。

対象2月28日3月27日4月28日5月28日2月末比
日経平均株価58,850円53,373円59,917円64,693円約9.9%上昇
NYダウ48,977ドル45,166ドル49,141ドル50,644ドル約3.4%上昇
ドル円相場156.1円160.3円159.6円159.4円約2.1%円安
原油価格67.0ドル99.6ドル99.9ドル90.9ドル約35.7%上昇
金価格5,248ドル4,509ドル4,592ドル4,458ドル約15.1%下落
ビットコイン66,995ドル66,364ドル76,346ドル73,277ドル約9.4%上昇
日本の長期金利2.11%2.37%2.46%2.70%0.59%ポイント上昇

今回の3カ月間を一言で表すと、「初期のリスク回避から株価は回復したものの、原油高と金利上昇が残った相場」といえます。

イランへの攻撃直後は、株式などのリスク資産が売られました。しかし、その後は投資家の過度な警戒が後退し、日経平均株価やNYダウは2月末の水準を上回っています。

一方、原油価格は2月末より約35.7%高い水準となり、日本の長期金利も2.11%から2.70%まで上昇しました。

株価だけを見ると市場が落ち着いたように見えますが、物価や住宅ローンに影響する原油高と金利上昇は続いていたことが分かります。

※休場日に当たる場合は、直前営業日など参照元で確認できる価格を使用しています。数値は元記事で集計した市場データをもとに再計算しています。

なぜイラン情勢は原油市場に大きな影響を与えるのか

イランをめぐる軍事衝突が金融市場に与える影響の中で、特に重要なのが原油の供給不安です。

イラン周辺には、原油や天然ガスの主要な輸送ルートであるホルムズ海峡があります。海峡の航行に支障が生じれば、イランだけでなく、サウジアラビア、クウェート、イラク、アラブ首長国連邦などからのエネルギー輸送にも影響が広がる可能性があります。

特に日本は、原油の9割以上を中東地域から輸入しています。資源エネルギー庁によると、2024年度速報値における日本の原油の中東依存度は約95.1%です。

そのため、中東情勢の悪化は海外の出来事であっても、日本のガソリン代、灯油代、電気料金、物流費、食品価格などに波及しやすい問題です。

日経平均株価|一時9%以上下落したあと急回復

日経平均株価は、2月28日の58,850円から3月27日には53,373円まで下落しました。

下落幅は5,477円、下落率は約9.3%です。

イランへの攻撃によって中東情勢が緊迫化し、投資家が株式などのリスク資産を売却したことが、下落要因の一つと考えられます。

地政学リスクが高まった局面では、流動性の高い大型株や株価指数先物が売られやすくなります。特に日本株は海外投資家の売買比率が高く、世界的なリスク回避の影響を受けやすい市場です。

しかし、4月28日には59,917円まで回復し、5月28日には64,693円まで上昇しました。

2月末からの上昇率は約9.9%、3月27日の安値水準からは約21.2%の上昇です。

回復の背景としては、初期のパニック的な売りが一巡したことに加え、円安によって輸出企業の業績改善が期待されたことなどが考えられます。

ただし、日経平均株価が上昇したからといって、日本経済全体への影響がなくなったわけではありません。

原油高や円安は輸入コストを押し上げます。企業がコスト上昇分を販売価格へ転嫁すれば、家計が負担する商品やサービスの価格も上がりやすくなります。

NYダウ|米国株も下落後に回復

NYダウは、2月28日の48,977ドルから3月27日には45,166ドルまで下落しました。

下落幅は3,811ドル、下落率は約7.8%です。

米国株も日経平均株価と同様に、攻撃開始直後はリスク回避の売りに押されました。

原油価格の上昇は、航空、運輸、化学、製造業などのコスト増につながります。また、エネルギー価格の上昇によってインフレが再燃すれば、米国の利下げが遠のく可能性もあります。

金利が高止まりすると、企業の借入負担が増えるだけでなく、将来利益の現在価値が低下するため、株式市場には下押し圧力がかかりやすくなります。

その後、NYダウは4月28日に49,141ドル、5月28日には50,644ドルまで回復しました。

2月末比では約3.4%の上昇です。

日経平均株価の約9.9%上昇と比べると回復率は小さいものの、3月の下落分を取り戻し、攻撃開始前の水準を上回りました。

ドル円相場|円高ではなく円安が進行

ドル円相場は、2月28日の1ドル=156.1円から、3月27日には160.3円まで円安が進みました。

地政学リスクが高まった場合、安全通貨とされる円が買われることもあります。しかし、今回の局面では円高ではなく、円安・ドル高が進みました。

為替相場は地政学リスクだけで決まるものではありません。日本と米国の金利差、金融政策の見通し、貿易収支、投資家のポジションなど、さまざまな要因が影響します。

日本銀行の分析でも、米国金利の上昇がドル高・円安を引き起こす要因になり得ることが示されています。

4月28日は159.6円、5月28日は159.4円となり、3月末よりは若干円高方向へ戻りましたが、依然として159円台の円安水準でした。

円安は、自動車や機械など輸出企業の円換算利益を押し上げる可能性があります。一方で、輸入する原油、天然ガス、食品、原材料などの価格を上昇させます。

原油高と円安が同時に進むと、ドル建て原油価格の上昇に加え、円換算時の負担も増える「二重のコスト増」が発生します。

原油価格|3カ月間で約35.7%上昇

今回、最も大きく上昇したのが原油価格です。

2月28日の67.0ドルから、3月27日には99.6ドルまで上昇しました。上昇幅は32.6ドル、上昇率は約48.7%です。

4月28日も99.9ドルと高い水準が続きました。5月28日には90.9ドルまで下落しましたが、2月末より約35.7%高い水準です。

原油市場では、実際に供給量が減少した場合だけでなく、将来的に供給が滞る可能性が高まっただけでも価格が上昇することがあります。

石油施設、港湾、タンカー、パイプライン、海峡などへの攻撃や航行制限が懸念されれば、市場参加者は供給リスクを先回りして価格へ織り込みます。

原油価格の上昇は、ガソリンや灯油だけの問題ではありません。

輸送費、航空運賃、電気料金、プラスチック製品、化学製品、包装資材、農業資材など、幅広い商品やサービスの価格に影響します。

資源エネルギー庁によると、2026年3月以降、中東から日本への原油輸入は大幅に減少し、石油備蓄の活用も重要な政策課題となりました。

金価格|「有事の金」でも下落することがある

金価格は、2月28日の5,248ドルから3月27日には4,509ドルまで下落しました。

下落率は約14.1%です。

4月28日には4,592ドルまで小幅に回復したものの、5月28日には4,458ドルまで下落しました。2月末比では約15.1%の下落です。

「戦争や紛争が起きれば、安全資産の金は必ず上がる」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、金価格は地政学リスクだけで決まりません。

金は預金や債券のような利息を生まないため、市場金利が上昇すると、利回りを得られる債券などと比べた相対的な魅力が低下しやすくなります。

また、ドル建てで取引される金は、ドル高が進むとドル以外の通貨を使う投資家にとって割高になります。

今回の局面では、地政学リスクによる買い材料よりも、金利上昇やドル高による売り材料が強く意識された可能性があります。

「有事の金」という言葉だけで判断せず、実質金利、ドル相場、中央銀行の金融政策なども確認する必要があります。

ビットコイン|初期は横ばい、その後上昇

ビットコインは、2月28日の66,995ドルから3月27日には66,364ドルへ小幅に下落しました。

下落率は約0.9%で、日経平均株価やNYダウと比べると、攻撃直後の下落は限定的でした。

その後、4月28日には76,346ドルまで上昇しました。3月27日からの上昇率は約15.0%です。

5月28日には73,277ドルへ下落しましたが、2月末比では約9.4%上昇しています。

ビットコインは、株式と同じようにリスク資産として売られることがある一方、法定通貨や既存の金融システムから独立した資産として買われることもあります。

ただし、地政学リスクが高まれば必ず上昇する「デジタル・ゴールド」と断定することはできません。

金利、ドル相場、暗号資産規制、ETFを通じた資金流入、投資家心理などの影響を受け、短期間で大きく変動する可能性があります。

日本の長期金利|2.11%から2.70%へ上昇

日本の長期金利は、2月28日の2.11%から、3月27日には2.37%、4月28日には2.46%、5月28日には2.70%まで上昇しました。

3カ月間の上昇幅は0.59%ポイント、金利の単位では59ベーシスポイントです。

長期金利の上昇は、今回の市場を理解するうえで重要なポイントです。

株式市場は3月の下落から回復しましたが、債券市場では原油高によるインフレや国債需給への警戒が続いていたと考えられます。

原油価格が上昇すると、企業の生産コストや物流コストが増えます。それが商品価格へ転嫁されれば、物価上昇率を押し上げる可能性があります。

インフレが続けば、中央銀行は利下げや金融緩和を行いにくくなります。その結果、将来も金利が高い状態が続くとの見方から、長期金利が上昇しやすくなります。

長期金利上昇が家計に与える影響

長期金利の上昇は、投資家だけでなく一般家庭にも関係します。

住宅ローンでは、全期間固定型や固定期間選択型の金利が長期金利の影響を受けやすくなります。

すでに固定金利で借りている人の返済額が直ちに変わるわけではありませんが、これから住宅ローンを契約する人や借り換えを検討している人は、金利上昇によって毎月の返済額が増える可能性があります。

また、企業の借入金利が上がれば、設備投資や人件費に使える資金が減り、企業業績や賃金にも影響することがあります。

一方、預金や国債を保有する側にとっては、受け取れる利息が増える可能性があります。

金利上昇は、借り手には負担増となる一方、預金者や債券投資家には収益機会となるため、立場によって影響が異なります。

主要資産の騰落率ランキング

2026年2月28日から5月28日までの騰落率を、大きい順に並べると次のようになります。

1位は原油価格で、約35.7%上昇しました。

2位は日経平均株価で約9.9%、3位はビットコインで約9.4%、4位はNYダウで約3.4%上昇しています。

ドル円相場は約2.1%円安となりました。

一方、金価格は約15.1%下落しました。

また、日本の長期金利は2.11%から2.70%へ0.59%ポイント上昇しています。

この結果から分かるのは、地政学リスクが高まったからといって、株式が下がり続け、金が上がり続けるわけではないということです。

攻撃開始直後は株式が売られましたが、その後は急速に回復しました。反対に、安全資産とされる金は下落しています。

金融市場は軍事衝突そのものだけでなく、原油価格、物価、金利、金融政策、企業業績への波及まで先回りして動きます。

イラン情勢から考えられる日本の家計リスク

今回の中東情勢で、日本の家計にとって特に注意したいのは、次の3つが同時に進むことです。

原油価格の上昇

ガソリン代、灯油代、電気料金、物流費などの上昇につながる可能性があります。

円安の進行

ドル建てで輸入する原油や食品、原材料の円換算価格が上昇しやすくなります。

長期金利の上昇

住宅ローンの固定金利や企業の借入金利が上昇し、家計や景気の負担になる可能性があります。

特に「原油高・円安・金利上昇」が同時に起こると、生活費が上がる一方で、住宅ローンなどの返済負担も増える可能性があります。

家計を守るためには、相場の短期的な値動きを予想するよりも、毎月の固定費、生活防衛資金、住宅ローンの金利タイプなどを確認することが重要です。

地政学リスク時の資産運用で注意したいこと

地政学リスクが高まると、「原油が上がる」「金を買った方がよい」「株式をすべて売却した方がよい」といった情報が増えます。

しかし、今回の3カ月間でも、攻撃直後に株式を売却した場合、その後の大幅な回復を取り逃した可能性があります。

一方、「有事だから金は上がる」と考えて金を購入しても、金利上昇やドル高によって価格が下落することがあります。

将来の相場を正確に予測することは困難です。

地政学リスクが高まったときほど、特定の資産へ集中するのではなく、預金、債券、国内外の株式、金など、値動きの異なる資産へ分散することが基本となります。

また、生活費や近い将来に使う予定の資金まで投資に回すべきではありません。

投資を検討する前に、病気、失業、収入減少などへ備える生活防衛資金を確保することが優先です。

今後確認しておきたいポイント

今後の金融市場では、特に次の点を確認する必要があります。

1つ目は、ホルムズ海峡を含む中東の原油輸送が安定するかどうかです。

原油価格が下がっていても、航行制限や石油施設への攻撃が発生すれば、短期間で再び上昇する可能性があります。

2つ目は、原油高が各国の物価上昇率へどこまで波及するかです。

エネルギー価格の上昇が一時的であれば、中央銀行の金融政策への影響は限定的になる可能性があります。しかし、企業が原材料費や物流費を継続的に販売価格へ転嫁すれば、インフレが長期化するおそれがあります。

3つ目は、日本と米国の金融政策です。

インフレが再び強まれば、利下げ期待が後退し、長期金利が高止まりする可能性があります。反対に、景気後退への警戒が強まれば、金利が低下することも考えられます。

4つ目は、原油高と円安が同時に進むかどうかです。

日本は原油輸入の中東依存度が高いため、ドル建て原油価格の上昇と円安が重なると、家計や企業への影響が大きくなります。

まとめ|株価は回復したが、原油高と金利上昇は残った

2026年2月28日に始まった米国・イスラエルによるイランへの攻撃から3カ月間、金融市場は大きく変動しました。

日経平均株価は一時約9.3%下落しましたが、5月28日には2月末比で約9.9%上昇しました。NYダウも約3.4%、ビットコインも約9.4%上昇しています。

初期のリスク回避が一巡したあと、リスク資産には資金が戻ったと考えられます。

一方、原油価格は2月末比で約35.7%高く、日本の長期金利も2.11%から2.70%へ上昇しました。

また、安全資産とされる金価格が約15.1%下落したことからも、「有事だから株安・金高になる」という単純な構図ではなかったことが分かります。

今回の市場で重要だったのは、軍事衝突そのものだけではありません。

イラン情勢の悪化が原油価格を押し上げ、原油高がインフレ懸念を強め、金利や為替、株価へどのように波及したのかを見る必要があります。

株価が上がっているから問題が解決した、金価格が下がっているから地政学リスクが後退したとは限りません。

株価、原油、為替、金、ビットコイン、長期金利を横断して確認し、家計への影響も含めて冷静に判断することが大切です。

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参考・出典

外務省 「海外安全ホームページ イラク危険情報」
資源エネルギー庁 「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」
資源エネルギー庁 「日本の石油備蓄のしくみ」
資源エネルギー庁 「中東情勢を踏まえた燃料油の緊急的激変緩和措置」
財務省 「国債金利情報」
日本銀行 「日本の為替レートの動向と決定要因に関する分析」

本記事の市場データは、2026年2月28日、3月27日、4月28日、5月28日の価格データをもとに、筆者が集計・分析したものです。掲載している数値や騰落率は、参照するデータ元や集計時点によって異なる場合があります。本記事は、金融市場の動向を分かりやすく整理することを目的とした情報提供記事であり、特定の金融商品、銘柄、通貨、暗号資産、商品先物等の売買を推奨するものではありません。

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