9月は、日本株の高配当銘柄を探している投資家にとって一年の中でも特に注目度が高い月です。3月期決算企業の多くが9月末を中間配当の基準日としているほか、9月決算企業では期末配当の権利確定も重なります。そのため、3月と並んで配当権利を迎える銘柄が非常に多くなります。
一方で、配当利回りの高さだけを見て権利確定日前に飛びつくのは注意が必要です。高配当銘柄にはすでに買いが集まり、高値圏まで上昇しているケースもあります。また、配当の権利を得た翌営業日の「権利落ち」では、配当相当額を意識した株価下落が起こることがあります。短期で考えるのであれば、必ずしも配当を受け取るまで保有する必要はなく、権利確定日前の株価上昇局面で売却するという考え方もあります。
そこで今回は、2026年9月18日の終値を参考株価として、9月末に配当権利がある東証プライム銘柄の中から、会社予想の年間配当金をもとに配当利回りTOP10をまとめました。配当利回りは「年間予想配当金÷参考株価×100」で計算しています。
なお、表示している配当金額は年間予想額です。9月末に権利を取得することで年間配当金の全額を受け取れるとは限りません。
2026年9月の配当利回りTOP10
第10位 東亜道路工業(1882)|配当利回り5.59%
第10位は東亜道路工業です。参考株価1,610円に対して、2027年3月期の年間配当予想は90円。配当利回りは5.59%となります。会社予想では中間配当45円、期末配当45円の年間90円を予定しており、9月30日が中間配当の株主確定日です。
東亜道路工業で注目したいのは、ここ数年で株主還元姿勢をかなり強めていることです。会社は配当性向100%を基準とし、DOE8%を目指す方針を掲げています。2027年3月期についても年間90円、中間・期末各45円という予想を公表しています。
一方、道路建設やアスファルト関連事業は、原材料価格、エネルギー価格、公共・民間工事の受注環境などの影響を受けます。配当利回りだけではなく、本業の利益動向も確認しておきたいところです。
第9位 三井松島ホールディングス(1518)|配当利回り5.66%
第9位は三井松島ホールディングスです。参考株価2,296円、年間配当予想130円から算出した配当利回りは5.66%です。2027年3月期は中間65円、期末65円の年間130円を予定しており、9月30日が中間配当の基準日となっています。
同社はかつて石炭事業のイメージが強い企業でしたが、現在はM&Aを通じて複数事業を抱える企業グループへと転換を進めています。株主還元では累進配当の考え方を打ち出しており、2025年10月に実施した1株から5株への株式分割後ベースでも配当水準を大きく引き上げています。
高い配当利回りは魅力ですが、M&Aによって事業ポートフォリオを変えている途中でもあります。買収した企業の利益貢献やキャッシュフローの推移も見ておきたい銘柄です。
第8位 高島(8007)|配当利回り5.71%
第8位は高島です。参考株価806円、2027年3月期の年間配当予想46円で計算すると、配当利回りは5.71%になります。高島は建材、産業資材、電子・デバイスなどを取り扱う専門商社で、9月30日と3月31日を配当金支払いの株主確定日としています。
2027年3月期は1株46円の年間配当を予定しており、会社予想に基づく連結配当性向は98.2%です。高水準の株主還元が続いていることは魅力ですが、配当性向が100%に近いということは、それだけ利益に対して配当負担が大きいことも意味します。
長期保有を考える場合には、現在の利回りだけでなく、利益成長によって配当を維持できるかという視点も必要でしょう。
第7位 アリアケジャパン(2815)|配当利回り5.71%
第7位はアリアケジャパンです。参考株価5,250円に対して2027年3月期の年間配当予想は300円となっており、表面上の配当利回りは5.71%です。ただし、この300円をそのまま通常の配当水準と考えるのは注意が必要です。
年間300円の内訳は、普通配当180円と創業60周年記念配当120円です。さらに9月末の中間配当予想は60円で、240円は2027年3月期末の配当予定となっています。
今回のランキングでは年間予想配当を使って5.71%と計算していますが、記念配当120円を除いた普通配当180円だけで計算すると、参考株価5,250円に対する利回りは約3.43%です。一時的な記念配当によって表面上の利回りが高くなっている銘柄では、「翌年度も同じ配当が続く」と考えないことが重要です。
第6位 スクロール(8005)|配当利回り5.74%
第6位はスクロールです。参考株価1,776円、年間配当予想102円をもとにした配当利回りは5.74%となります。通販事業に加えて、EC事業者向けの物流・決済・マーケティング支援などを展開しており、9月30日を中間配当金受領株主確定日としています。
スクロールは2026年5月に株主還元の基本方針を変更し、2027年3月期から連結配当性向60%またはDOE8.5%のいずれか高い方を基準とした累進配当を実施する方針を示しました。また、2027年3月期の配当には東証一部上場40周年の記念配当が含まれています。
配当政策そのものは積極的ですが、記念配当を含む年度は翌期との比較を慎重に行う必要があります。通販事業の収益力回復やソリューション事業の成長が今後の還元余力を左右しそうです。
第5位 フージャースホールディングス(3284)|配当利回り5.77%
第5位はフージャースホールディングスです。参考株価1,300円に対して年間配当予想は75円。配当利回りは5.77%となります。2026年3月期の年間74円から1円増配し、2027年3月期は年間75円を予定しています。
同社は分譲マンション、シニア住宅、不動産投資などを展開する不動産会社です。第3次中期経営計画でも「配当性向40%以上、DOE4%以上」という株主還元方針を継続しています。
配当だけを見ると魅力的な水準ですが、不動産会社にとって現在の金利上昇局面は無視できません。住宅ローン金利の上昇による需要への影響、土地取得価格や建築費、資金調達コストなどが業績に影響する可能性があるため、配当利回りと併せて金利環境を確認したい銘柄です。
第4位 ジャフコ グループ(8595)|配当利回り5.84%
第4位はジャフコ グループです。参考株価2,278.5円に対して、2027年3月期は中間66.5円、期末配当の予想最低額66.5円で、年間133円を基準に計算すると配当利回りは5.84%です。9月30日が中間配当の株主確定日となっています。
ジャフコ グループはベンチャーキャピタル・プライベートエクイティ投資を主力とする企業です。一般的な製造業などとは異なり、投資先企業のIPOや株式売却のタイミングによって利益が年度ごとに大きく変動することがあります。そのため、単年度の利益だけで配当余力を判断しにくい点には注意が必要です。
一方、2027年3月期について会社は中間66.5円、期末は最低66.5円と明示しており、株主還元を重視した資本政策が高い配当利回りにつながっています。
第3位 ディア・ライフ(3245)|配当利回り5.87%
いよいよTOP3です。第3位はディア・ライフで、参考株価1,090円、年間配当予想64円から算出した配当利回りは5.87%となります。ディア・ライフは9月決算企業であり、2026年9月期の配当予想64円は中間0円、期末64円という構成です。
今回のランキングの中でも、9月の権利取りを考えるうえで特に分かりやすい銘柄といえます。年間配当64円が期末に集中しているためです。
会社は連結ベースの配当性向40%を目標としながらDOEも考慮する方針を掲げ、2026年9月期は1株64円を目標としています。ただし、配当が期末に集中する銘柄は、その分だけ権利落ち日の株価への影響が意識されやすくなります。
「5.87%もらえるから買う」という考え方だけではなく、配当取得後の株価変動まで含めて考える必要があります。
第2位 エクセディ(7278)|配当利回り5.90%
第2位はエクセディです。参考株価5,930円に対して年間配当予想は350円。配当利回りは5.90%となります。2027年3月期は年間配当を350円まで引き上げる計画で、9月30日が中間配当の株主確定日です。
エクセディは自動車向けクラッチやトルクコンバータなどを手掛ける世界的な駆動系部品メーカーですが、EV化など自動車産業の構造変化を踏まえ、新事業への投資も進めています。
会社はDOE5%を下限とする安定配当を掲げながら、2027年3月期の年間配当を350円に増額する方針を示しています。高配当だけではなく自己株式取得などを含めた資本政策も積極的ですが、自動車産業の電動化が既存製品に与える影響と、新規事業がどこまで成長するかは中長期的に確認したいポイントです。
第1位 エアトリ(6191)|配当利回り9.73%
2026年9月版の第1位はエアトリです。参考株価1,644円に対して2026年9月期の配当予想は160円。配当利回りは9.73%となり、第2位以下を大きく上回っています。しかもエアトリは9月決算企業で、今回の160円は期末配当として予定されています。
この高い利回りの背景にあるのが、2026年9月10日に会社が発表した「上場10周年記念 3期間株主還元方針」です。2026年9月期から2028年9月期までの3期間について、税引後営業利益を基準とした配当性向100%で総額100億円超の配当を実施する方針を公表し、2026年9月期の期末配当予想を前期10円から160円へ大幅に引き上げました。
150円もの増額となったため、株式市場でも大きな注目を集めています。
ただし、9.73%という数字だけを見て判断するのは注意が必要です。今回の配当は従来の10円から一気に160円へ引き上げられたものであり、一般的な安定高配当株とは性格が異なります。
特に160円の配当が9月期末に集中しているため、権利落ち後の株価変動は十分に意識しておく必要があります。配当を受け取ることそのものより、権利確定日前までの株価上昇局面を利用して売却するという短期戦略が選択肢になる場面もあるでしょう。
配当利回りTOP10一覧
ここまで紹介した10銘柄をまとめると以下のとおりです。参考株価は2026年9月18日終値、配当金額は各社が公表している年間配当予想を基準としています。株価は日々変動するため、実際に購入する時点では配当利回りも変化します。
※スマートフォンでは表を横にスライドしてご覧いただけます。
| 順位 | 銘柄 | コード | 配当金額 | 参考株価 | 配当利回り | 最低購入単位 | 最低取得価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | エアトリ | 6191 | 160円 | 1,644円 | 9.73% | 100株 | 164,400円 |
| 2位 | エクセディ | 7278 | 350円 | 5,930円 | 5.90% | 100株 | 593,000円 |
| 3位 | ディア・ライフ | 3245 | 64円 | 1,090円 | 5.87% | 100株 | 109,000円 |
| 4位 | ジャフコ グループ | 8595 | 133円 | 2,278.5円 | 5.84% | 100株 | 227,850円 |
| 5位 | フージャースホールディングス | 3284 | 75円 | 1,300円 | 5.77% | 100株 | 130,000円 |
| 6位 | スクロール | 8005 | 102円 | 1,776円 | 5.74% | 100株 | 177,600円 |
| 7位 | アリアケジャパン | 2815 | 300円 | 5,250円 | 5.71% | 100株 | 525,000円 |
| 8位 | 高島 | 8007 | 46円 | 806円 | 5.71% | 100株 | 80,600円 |
| 9位 | 三井松島ホールディングス | 1518 | 130円 | 2,296円 | 5.66% | 100株 | 229,600円 |
| 10位 | 東亜道路工業 | 1882 | 90円 | 1,610円 | 5.59% | 100株 | 161,000円 |
※参考株価は記事作成時点の参考値です。最低取得価格は「参考株価×100株」で算出しており、売買手数料などは含みません。株価の変動により、実際の購入金額や配当利回りは変動します。
※配当金額は会社予想の年間配当金です。9月末に権利を取得することで受け取れる配当額そのものではありません。配当予想は業績などによって変更される場合があります。
9月配当の権利を取得するにはいつまでに買えばいい?
今回紹介した銘柄で2026年9月末の配当権利を取得する場合、原則として2026年9月28日(月)の「権利付き最終日」までに株式を購入し、同日の取引終了時点まで保有しておく必要があります。
9月30日(水)が権利確定日ですが、株式は購入したその日に株主名簿へ反映されるわけではありません。そのため、9月30日に購入しても今回の配当権利には間に合わず、2営業日前となる9月28日までの購入が必要です。
日程を整理すると、次のようになります。
・権利付き最終日:2026年9月28日(月)
・権利落ち日:2026年9月29日(火)
・権利確定日:2026年9月30日(水)
配当を受け取りたい場合は、9月28日の取引終了まで株式を保有しておくことがポイントです。9月28日まで保有して権利を確保すれば、翌日の9月29日に売却しても9月末の配当を受け取る権利は残ります。
一方、9月29日は権利落ち日となるため、配当相当額を意識して株価が下落する可能性があります。高配当銘柄ほど権利落ちの影響が大きくなるケースもあるため、「配当を受け取るまで保有するのか」「権利付き最終日前の株価上昇局面で売却するのか」は、あらかじめ考えておきたいところです。
9月は配当銘柄が多いからこそ「権利落ち」に注意
高配当銘柄はすでに買われている可能性もある
9月は半期決算との関係から配当権利を迎える企業が非常に多く、高配当株を探す投資家の資金も集まりやすくなります。特に配当予想の増額や累進配当、新しい株主還元方針が発表された銘柄は、権利確定日を待たずして株価が上昇することがあります。
その結果、配当が魅力的だからと買ったものの、実際にはかなり高い株価で購入していたということもあり得ます。配当利回り5%の株でも、権利落ち後に株価が7%下がれば、短期間で見れば配当だけでは株価下落分を埋められません。高配当=低リスクではないことは、9月の配当取りでは特に意識したいところです。
短期狙いなら権利確定日前に売却する考え方もある
短期売買を前提とするのであれば、「配当を受け取ること」だけが選択肢ではありません。配当権利を狙う買いによって株価が上昇した場合には、権利を取得せず、その上昇局面で売却して利益を確定する方法もあります。
もちろん、権利確定日に向けて必ず株価が上昇するわけではありません。しかし、配当金を得る代わりに権利落ち後の下落リスクを負うのか、それとも配当前の値上がり局面で売却するのかという二つの視点を持つだけでも、高配当株への向き合い方は変わります。
特に今回1位となったエアトリのように、配当金額が短期間で大幅に引き上げられた銘柄では、この考え方は重要でしょう。
権利落ちでは配当以上に下落することもある
配当の権利がなくなる権利落ち日には、理論上は配当相当額だけ株価価値が減少します。ただし、実際の株価は投資家の売買によって決まるため、配当相当額より小さな下落で終わることもあれば、それ以上に下落することもあります。反対に、相場全体が強ければ権利落ち分を早期に埋めるケースもあります。
大切なのは「配当を受け取ればその分だけ利益になる」と単純に考えないことです。配当金と株価は別々に動いているように見えて、権利確定日前後では密接に関係しています。
記念配当・特別配当は通常配当と分けて考える
今回のランキングでは、アリアケジャパンの創業60周年記念配当やスクロールの上場40周年記念配当など、通常とは異なる配当が含まれる銘柄があります。こうした配当を含めて年間利回りを計算すると、非常に魅力的な数字になることがあります。
しかし、記念配当は基本的に一時的なものです。翌年度に同じ金額が続かなければ、現在表示されている配当利回りを長期的に維持できません。長期投資を目的とする場合は、年間配当金の総額だけを見るのではなく、「普通配当はいくらなのか」「記念配当や特別配当がいくら含まれているのか」を確認することが大切です。
まとめ|9月の高配当株は「利回り」と「権利落ち」をセットで見る
2026年9月の配当利回りランキングでは、エアトリが9.73%と突出した水準になりました。続いてエクセディ5.90%、ディア・ライフ5.87%、ジャフコ グループ5.84%と、5%台後半の銘柄が並んでいます。現在の日本株市場では配当を重視する投資家が増えており、株主還元を積極化する企業も目立つようになっています。
一方、高い配当利回りには必ず理由があります。大幅な増配、記念配当、高い配当性向、業績変動への警戒など、銘柄によって背景はさまざまです。単純にランキング上位から購入するのではなく、「なぜこの利回りになっているのか」を確認することが重要です。
さらに9月は配当権利を迎える企業が多いため、権利確定日に近づくにつれて株価が動きやすくなる可能性があります。すでに高値圏まで買われている銘柄では、配当を取りにいくより、権利確定日前の上昇局面で売却する方が結果として有利になるケースもあります。
一方で長期保有を前提とする場合は、一時的な株価変動よりも、企業が数年先まで配当を維持・増額できる利益とキャッシュフローを持っているかを見るべきでしょう。
「高配当だから買う」のではなく、「配当が続く理由まで確認して買う」。2026年9月の高配当株を選ぶ際には、この視点を持っておきたいところです。
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出典・引用
日本取引所グループ「営業時間・休業日一覧」
日本取引所グループ「配当落・権利落等情報」
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本サイトは情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。配当利回りは株価の変動によって日々変わり、配当予想も業績などにより減配・変更される可能性があります。9月末の配当権利を取得する場合は、原則として2026年9月28日までに購入し、同日の取引終了まで保有する必要があります。権利落ち日の9月29日以降は、配当相当額を意識して株価が下落する場合があるため注意が必要です。最終的な投資判断は、ご自身の判断と責任で行ってください。