退職金を受け取ったものの、「普通預金に置いたままでよいのか」「投資を始めるべきか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
2026年は日本の長期金利の上昇が話題となり、金融機関を取り巻く金利環境も大きく変化しています。銀行や信用金庫では普通預金・定期預金の金利を引き上げる動きが続いており、退職金を受け取った人だけが利用できる優遇定期預金にも、年2%前後の金利を提示する商品が増えてきました。日本銀行も長・短期プライムレートなどの金利関連統計を継続的に公表しており、預金金利の見直しは今後も注目すべき動きといえます。
ただし、退職金向け定期預金の多くは、優遇金利が適用されるのが最初の3か月や6か月だけです。「年2%」と表示されていても、3か月分の利息しか受け取れない点には注意しなければなりません。
本記事では、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合が取り扱う退職金向け定期預金を対象に、金利、預入期間、受付期間、利用条件を比較し、2026年7月版のランキングTOP10としてまとめました。
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2026年7月版・退職金向け定期預金ランキングTOP10
今回のランキングでは、2026年7月18日時点で公式情報を確認できた商品のうち、退職金を原資とする円定期預金を対象としています。
投資信託、ファンドラップ、外貨預金などを同時に購入することを条件としたセット商品は、預金単体の商品とリスクが異なるため、原則としてランキングから除外しました。
順位は最高金利を基本としながら、優遇金利が適用される期間、利用条件、募集期限なども考慮した独自評価です。
| 順位 | 金融機関 | 商品名 | 最高金利 | 預入期間 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 北陸銀行 | 「退職金専用定期預金 Gエイジ」 | 年3.00% | 3か月 |
| 2位 | みずほ銀行 | 「退職金定期預金」 | 年2.20% | 3か月 |
| 3位 | 朝日新聞信用組合 | 「退職金定期預金」 | 年2.00% | 5年 |
| 4位 | 横浜銀行 | 「退職金専用定期預金」 | 年2.00% | 3か月 |
| 5位 | 京都銀行 | 「退職金運用プラン」 | 年2.00% | 3か月 |
| 6位 | 肥後銀行 | 「退職金専用定期預金」 | 年2.00% | 3か月 |
| 7位 | 愛媛銀行 | 「退職金専用定期預金」 | 年2.00% | 3か月 |
| 8位 | 西日本シティ銀行 | 「退職金・相続金専用定期預金」 | 年1.50% | 2年 |
| 9位 | 東邦銀行 | 「退職金専用定期預金 ニューステージ」 | 年1.50% | 6か月 |
| 10位 | 金沢信用金庫 | 「退職金定期預金」 | 年0.620% | 6か月 |
※金利は税引前の年率です。募集期間中であっても、市場金利や募集状況によって条件が変更・終了される場合があります。
1位:北陸銀行「退職金専用定期預金 Gエイジ」
北陸銀行の「退職金専用定期預金 Gエイジ」は、3か月ものの基本金利が年2.00%に設定されています。
さらに、北陸銀行の口座をマイナンバー制度における公金受取口座として登録するなど、所定の条件を満たした場合には年1.00%が上乗せされ、最大年3.00%となります。
対象となるのは、原則として退職金を受け取ってから2年以内の個人です。預入金額は10万円以上で、受け取った退職金の範囲内となります。
最大年3.00%は今回調査した中で最も高い水準ですが、優遇期間は3か月です。満期後は通常の店頭表示金利へ切り替わるため、満期後の資金をどこに置くかも事前に考えておきましょう。
2位:みずほ銀行「退職金定期預金」
みずほ銀行の退職金定期預金は、3か月ものの基本金利が年2.00%です。
さらに、所定の投資信託積立契約がある場合には年0.20%が上乗せされ、最大年2.20%となります。
対象は退職金を受け取ってから3年以内の人で、原則として退職金がみずほ銀行へ入金されてから3か月以内の資金を預け入れる必要があります。預入金額は1,000万円以上となっているため、まとまった退職金を受け取った人向けの商品です。
投資信託積立の条件を満たさない場合でも年2.00%が適用されます。上乗せ金利だけを目的として、必要のない投資信託を契約するのではなく、積立額や手数料、価格変動リスクを確認したうえで判断することが大切です。
3位:朝日新聞信用組合「退職金定期預金」
朝日新聞信用組合の退職金定期預金は、預入期間によって金利が異なります。
1年ものは年1.10%、3年ものは年1.50%、5年ものは年2.00%です。短期間だけ高い金利を適用する商品が多い中、5年間にわたって年2.00%が適用される点は大きな特徴です。
一方、利用できるのは朝日新聞社や同社グループ企業の退職者など、所定の組合員に限られます。退職後1年以内、預入金額100万円以上などの条件もあります。
対象者は限定されますが、条件を満たす人にとっては、長期間の金利を固定できる有力な選択肢です。将来、市場金利がさらに上昇した場合には相対的に不利になる可能性もあるため、全額を5年定期にするのではなく、期間を分ける方法も考えられます。
4位:横浜銀行「退職金専用定期預金」
横浜銀行の退職金専用定期預金は、最初の3か月に年2.00%が適用されます。
2026年7月の取扱期間は7月1日から9月30日までです。退職金を受け取ってから2年以内で、預入金額240万円以上などの条件があります。
利用は原則として店頭窓口となり、居住地や勤務先が横浜銀行の営業地域内にあることも条件です。
満期後は通常の定期預金金利で自動継続されるため、3か月後にそのまま継続するのか、他の商品へ移すのかを確認しておく必要があります。
5位:京都銀行「退職金運用プラン」
京都銀行の退職金運用プランでは、3か月ものの円定期預金に年2.00%が適用されます。
取扱期間は2026年7月1日から12月30日までです。預入金額は300万円以上1億円以下で、受け取った退職金の範囲内となります。
対象となるのは退職金を受け取ってから1年以内の人で、給与振込、公共料金・クレジットカードの口座振替、NISA・投資信託の保有など、所定の取引条件のいずれかを満たす必要があります。
また、満期後の資産運用について相談することが利用条件に含まれています。相談したからといって投資商品を契約しなければならないわけではありませんが、提案される商品のリスクや手数料を十分に確認しましょう。
6位:肥後銀行「退職金専用定期預金」
肥後銀行では、退職金を原資とする3か月ものの定期預金に年2.00%が適用されます。
取扱期間は2026年4月1日から2027年1月29日までと比較的長く、退職金を受け取ってから2年以内の人が対象です。
肥後銀行には投資信託などと組み合わせた、より高い金利を表示するコースもあります。しかし、投資部分には元本割れの可能性や手数料があるため、本ランキングでは預金だけで利用できる3か月・年2.00%のコースを評価しています。
7位:愛媛銀行「退職金専用定期預金」
愛媛銀行の退職金専用定期預金は、3か月ものが年2.00%です。
退職金を受け取ってから1年以内の人が対象で、預入金額は100万円以上、退職金の手取り額までとなります。原則として愛媛県内の店舗で取り扱われる地域限定の商品です。
1年ものを選択することもできますが、1年ものは店頭表示金利への上乗せ方式です。短期間の高金利を重視する場合は3か月もの、預け替えの手間を抑えたい場合は1年ものを比較するとよいでしょう。
8位:西日本シティ銀行「退職金・相続金専用定期預金」
西日本シティ銀行の商品は、預入期間が2年と比較的長く、店頭表示金利に年1.00%が上乗せされます。
2026年7月6日時点の2年もの定期預金金利は年0.50%であるため、合計金利は年1.50%となります。
預入金額は300万円以上で、退職金または相続金を受け取ってから2年以内の人が対象です。取扱期間は2026年9月30日までとなっています。
3か月だけ年2.00%の商品と比べて表示金利は低いものの、年1.50%が2年間続く点は魅力です。資金を当面使う予定がなく、2年間の金利を固定したい人に適しています。
9位:東邦銀行「退職金専用定期預金 ニューステージ」
東邦銀行の「ニューステージ」は、6か月ものが年1.50%、1年ものが年1.00%です。
対象は退職金を受け取ってから2年以内の人で、預入金額は300万円以上、受け取った退職金の範囲内となります。原則として福島県または山形県に居住・勤務している人が対象です。
3か月ものよりも預入期間が長いため、短期間で何度も預け替えることを避けたい人に向いています。一方、中途解約すると所定の中途解約利率が適用されるため、半年以内に使う可能性がある資金は別に確保しておきましょう。
10位:金沢信用金庫「退職金定期預金」
金沢信用金庫では、2026年5月1日から退職金定期預金の金利を年0.620%へ引き上げています。
預入期間は6か月、預入金額は100万円以上で、退職金受取額が上限です。対象となるのは退職金を受け取ってから1年以内の個人で、窓口での手続きが必要となります。
ランキング上位の商品と比べると金利は低いものの、地域の信用金庫を日常的に利用している人にとっては、相談しやすさや口座管理のしやすさがあります。
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年2%の3か月定期で受け取れる利息はいくら?
退職金向け定期預金を比較するときに注意したいのが、「年率」と「実際の預入期間」の違いです。
年2.00%は、1年間預けた場合の金利を示しています。3か月定期の場合、受け取れる利息はおおむね1年分の4分の1です。
例えば、1,000万円を年2.00%の3か月定期に預けた場合、単純計算による税引前利息は約5万円です。
利息には原則として20.315%の税金がかかるため、税引後の受取額は約4万円となります。実際には預入日数や金融機関所定の計算方法によって金額が変わります。肥後銀行の公式試算では、1,000万円を年2.00%で90日間預けた場合の税引後利息は3万9,297円です。
年3.00%で3か月預けた場合も、1年間にわたって30万円の利息を受け取れるわけではありません。高い表示金利だけで判断せず、実際の適用日数と税引後利息を確認することが重要です。
退職金向け定期預金を選ぶ5つのポイント
1.優遇金利が続く期間を確認する
年2%や年3%という金利が適用されるのは、多くの場合、最初の3か月または6か月だけです。
満期後は通常の店頭表示金利で自動継続されることがあるため、満期日を予定表などに記録し、継続後の金利を確認しましょう。
2.退職金を受け取ってからの経過期間を確認する
金融機関によって、「退職金受取後1年以内」「2年以内」「3年以内」などの条件が異なります。
退職所得の源泉徴収票、退職金の振込記録、退職証明書などの提出を求められることもあります。利用を考えている場合は、早めに必要書類を確認しておきましょう。
3.最低預入金額を確認する
最低金額は10万円、100万円、240万円、300万円、1,000万円など、金融機関によって大きな差があります。
退職金の全額を預けなければ利用できないとは限りません。生活費や近い将来に使う資金を残し、一部だけを預けることも検討しましょう。
4.投資商品とのセット条件を確認する
退職金運用プランの中には、投資信託、ファンドラップ、外貨預金などを同時に契約することで、定期預金金利が年10%前後になる商品もあります。
しかし、高金利が適用されるのは預金部分だけであり、投資部分には元本割れの可能性があります。投資商品の購入手数料や信託報酬によって、預金で受け取る利息以上の費用が発生することも考えられます。
「定期預金の金利が高いから」という理由だけで、理解していない投資商品を契約することは避けましょう。
5.預金保険制度の上限を確認する
一般預金は、1つの金融機関につき、預金者1人当たり元本1,000万円までと、その利息が預金保険制度によって保護されます。
同じ銀行の普通預金、定期預金などは合算して計算されます。退職金が1,000万円を大きく超える場合は、複数の金融機関へ分けることも選択肢です。
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退職金は、定期預金だけでなく、個人向け国債や投資信託などに分けて管理する方法もあります。
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退職金向け定期預金に関するよくある質問
退職金向け定期預金は普通の定期預金と何が違いますか?
退職金を受け取った人だけを対象に、通常の定期預金より高い金利を適用する商品です。
利用できる期間や預入金額が限られ、退職所得の源泉徴収票などによって退職金の受取事実を確認されることがあります。
複数の銀行で退職金定期預金を利用できますか?
金融機関ごとの条件を満たしていれば、退職金を分割して複数の銀行へ預けることは可能です。
ただし、預入額の合計が受け取った退職金額を超えないことや、資金移動の履歴を確認できることなどが求められる場合があります。
3か月ごとに別の金融機関へ預け替えてもよいですか?
次の金融機関が定める「退職金受取後の期間」や「新たな資金」といった条件を満たせば、預け替えられる可能性があります。
一方で、満期時点でキャンペーンが終了していることもあります。預け替えを前提とせず、満期後の通常金利も確認しておくことが大切です。
金利がさらに上がるまで待った方がよいですか?
今後の金利を正確に予測することはできません。
退職金を複数に分け、3か月、6か月、1年など満期時期をずらして預ける「期間分散」を行えば、将来金利が上昇したときに一部の資金を新しい金利で預け直しやすくなります。
まとめ|退職金はいきなり全額を投資せず、まず安全に置く期間をつくる
2026年7月の退職金向け定期預金では、北陸銀行の最大年3.00%、みずほ銀行の最大年2.20%、横浜銀行や京都銀行、肥後銀行、愛媛銀行の年2.00%など、通常の定期預金を上回る商品が確認できました。
一方で、多くの商品は高い金利が適用されるのが3か月だけです。最高金利だけを比較するのではなく、預入期間、利用条件、満期後の金利、最低預入金額を確認する必要があります。
退職金は、長い現役生活を経て受け取る大切な資金です。給与収入が減少した後は、投資で損失が発生しても、働いて取り戻すことが難しくなる可能性があります。
退職金を受け取った直後に、全額を株式や投資信託などへ投入することは避けた方がよいでしょう。
まずは、数年分の生活費、住宅修繕費、医療・介護費、税金など、近い将来に必要となる資金を預金で確保します。そのうえで、当面使わない資金について、定期預金、個人向け国債、投資信託などの特徴を比較することが大切です。
投資を始める場合も、一度に全額を投じるのではなく、時期を分けながら少しずつ進める方法があります。
退職金向け定期預金は、退職後の資産運用について落ち着いて考えるための「一時的な資金の置き場所」として活用できます。高金利キャンペーンを利用しながら、自分や家族にとって必要な生活資金と、長期間運用できる資金を慎重に整理しましょう。
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出典・引用
日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」
日本銀行「預金・貸出関連統計」
預金保険機構「預金保険制度・預金の保護範囲」
国税庁「利息を受け取ったとき(利子所得)」
金融庁「資産形成の基本」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「資産運用とは?」
本記事は2026年7月18日時点の各金融機関の公式情報を基に独自に作成しています。金利、募集期間、対象地域、利用条件は変更される可能性があります。申込前に必ず金融機関の公式ページおよび店頭で最新情報をご確認ください。本記事は特定の金融商品への申込みや投資を推奨するものではありません。